バイデン米大統領、ワクチン接種義務化を連邦行政機関全職員や大企業従業員にも拡大へ
(米国)
ニューヨーク発
2021年09月13日
ジョー・バイデン米国大統領は9月9日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための追加計画を発表した。1つ目に、従業員100人以上からなる企業に対し、従業員にワクチン接種完了証明、または週1度の感染検査の陰性結果を提出させることを義務付けるための非常事態規則を労働省が現在策定中だと発表した。また、同省は同様の企業に対し、ワクチン接種に伴う有給休暇制度を設けることを義務付けるとした。
2つ目として、既にメディケア(注1)とメディケイド(注2)で治療されている患者をケアする、介護施設で働く者に対するワクチン接種義務付けの範囲を拡大し、病院、在宅介護など全ての医療従事者を対象にするとした。3つ目として、連邦行政機関の全ての従業員と委託業者の従業員に対し、ワクチン接種を義務付ける大統領令に署名すると発表した(注3)。
バイデン大統領は「大統領に就任した当初は200万人の米国人がワクチン接種を完了していたが、今日までにその数は1億7,500万人に達した。しかし、ワクチンは安全、有効、無料であるにもかかわらず、米国全体の25%である約8,000万人もの米国人がまだ接種を受けていない。この25%が大きな打撃を及ぼしている」とした。
また、「新型コロナウイルス感染に関して何が事実で、何がうそなのか混乱させられることもあるだろう」とし、「選出議員の中にはせっかく取り組んできた新型コロナウイルス感染防止対策を台なしにし、人々にワクチン接種やマスク着用推奨するのではなく、ワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症の末期患者のために移動式の遺体安置所を注文する始末となっている。これは、極めて許されないことだ」とした。そして、今回発表した計画は、このような公衆衛生の妨害に対抗し、より多くの米国人にワクチンを接種させることが目的だとした。
バイデン大統領はまた、「実際、(今年)夏のデータによると、ワクチン接種完了者16万人中、新型コロナウイルスに感染し、入院した人は1日当たり、たった1人だった」と述べた。また、米国疾病予防管理センター(CDC)の9月10日の発表によると、ワクチン未接種者の新型コロナウイルス感染による死亡率は、ワクチン接種完了者と比較して約11倍も高くなっている。
(注1)65歳以上の高齢者および障害者を対象に、連邦政府が運営する公的医療保険制度。
(注2)低所得者を対象とした、連邦政府と州政府が運営する公的医療保険制度。
(注3)大統領令は、行政機関の従業員向けと、委託業者向けに分かれている。
(吉田奈津絵)
(米国)
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