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(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年09月08日
アルゼンチン政府は8月31日、工業生産・開発省および農牧水産省共同決議第7/2021号を公布し、生鮮・冷蔵・冷凍牛肉の特定部位の輸出数量を2020年7~12月の1カ月当たりの平均輸出数量の50%を上限とする措置を2021年10月31日まで延長した。国内の牛肉価格の高騰を阻止する目的で、6月23日に同措置とともに特定部位の牛肉の輸出を2021年末まで禁止していた(アルゼンチン政府、2021年末まで牛肉ブラック)。
今回の措置の延長理由について、共同決議では「これまで導入してきた措置が効果を発揮し、(牛肉の)国内価格の変動を抑制することができた」「現在の構造的な問題を解決するには生産量を増やすための対策が必要だが、急激な価格上昇に直面している国内消費者が牛肉にありつけるよう保証するためには、短期的には、国外への販売制限は不可欠」と述べている。
8月31日付の国営テラム通信によると、アルゼンチン経済政策センター(CEPA)は「最も安価な部位の7月の価格は前月比で2%減、その他の中価格帯以上の部位も約1%減少した。これまで、3月に7.3%増、4月に3.5%増、5月に5.9%増、6月に7.9%増の価格上昇がみられたが、今回初めて価格が下落した」として、政府が導入した措置の成果を強調している。また、政府関係者などは「牛肉輸出は禁止されていない。7月の牛肉輸出は1億9,400万ドルに達し、2019年と2020年の同月比を下回るものの、過去の平均値を上回っている」としている。
9月4日付の現地紙「インフォバエ」と「ラ・ナシオン」は「政府の措置は投資や雇用機会を減少させているだけでなく、既に多額の損失を生み出している」との農業セクター専門家の声を取り上げ、「見通しは暗い」と報じている。実際、牧畜農家では飼料穀物の生産にシフトする動きが増えているほか、肉処理加工業や食肉輸出業者でも、従業員が解雇され始めていると伝えている。
アルゼンチン農牧協会は、政府の措置による2021年4月半ばから8月末までの牛肉産業の損失は約10億8,400万ドルに達したと述べ、措置が2カ月延長されたことで、損失は16億5,000万ドルまで増える見通しと警鐘を鳴らしている。
他方、隣国ウルグアイとパラグアイは、アルゼンチンが輸出制限をしているこのタイミングで牛肉輸出を拡大させている。1~7月のウルグアイの牛肉輸出は22万6,000トンで前年同期比37%増、パラグアイは21万2,000トンで同47%増と輸出を伸ばしている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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