農作物の病気を事前感知、カナダのスタートアップに武蔵精密が出資

(カナダ、日本)

トロント発

2021年08月20日

農作物に影響を及ぼす空気中の病原菌を採取し、その菌のブラック ジャック 確率から、種類や耐性の有無、発生状況などに応じて、適切な農薬対応を可能にする装置を開発しているカナダのスタートアップ、スポルネード(本社:トロント市)は、6月に武蔵精密工業(本社:愛知県豊橋市、以下、ムサシ)からの出資を受け、日本市場への展開機会を狙っている。同社のクリスティン・ホワイト最高経営責任者(CEO)は8月13日、ジェトロの取材に対して次のように語った。

(問)貴社の製品の特徴や日本企業を引き付けた点は何か。

(答)当社製品は、簡単に言うと、空中で作物の病気を検出するシステムだ。畑で病気が発生する前に、適切な農薬をより効果的に散布することを可能にするもので、必要のない農薬を使用することもなくなる。風力発電で稼働する機器で、空中に浮遊する病原菌の胞子を採取する非常にシンプルなもの。内部に取り付けたカセットでDNA分析のためのqPCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)検査を行う。これが非常に精密で感度が高く、特定の病気にターゲットを絞ることができる一方で、低コストであるため、どの国でも導入しやすい。どの作物や病気にも同じカセットと機器を使えるため、新しい土地の新しい病気に対する検査を6~8週間という短期で導入することが可能だ。現在はカセットを研究室に持ち込んで検査する必要があるが、将来的にはリアルタイムセンサーを開発したいと考えている。さらに、今年から菌の農薬に対する耐性検査も開発中で、それが完成すれば、どの農薬が効果あるのかを散布前に確認することができるようになる。

写真 スポルネードの病気検出知システム(スポルネード提供)

スポルネードの病気検出知システム(スポルネード提供)

(問)ムサシからの出資に関連して、今後の同社との関係はどのようなものか。

(答)ムサシは単なる金銭的な投資ではなく、わが社の成長を支援し、今後日本への進出に向けて一緒に取り組んでくれている。新しい地域に進出する際には、最初に取り組む作物を決めなければならない。どの作物が糸状菌(病原菌)に悩まされているのか、研究室を特定し、協力してくれる生産者団体を特定することが最初のステップになる。また、将来的に事業を拡大していく上で、ムサシのような製造業と一緒に仕事をすることで、ハード面での量産支援についても、同社の持っている知見が生かされるものと期待している。プロ意識が高く、とても協力的な同社と、会社を成長させるために何が必要かを一緒に考えていけることは非常に楽しみだ。

写真 ホワイトCEO(スポルネード提供)

ホワイトCEO(スポルネード提供)

ムサシのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、「(スポルネードとの協業は)世界の農家を支援することができる。他国でもこのアクティビティを展開し、DNAや農業関連の共同プロジェクトを推進する」としている。

(江崎江里子)

(カナダ、日本)

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