米センサス局、2020年の国勢調査結果の詳細を発表、人種の多様化進む
(米国)
ニューヨーク発
2021年08月16日
米国商務省センサス局は8月12日、10年おきに実施される国勢調査の2020年の結果の詳細を発表した。
2020年の都市圏の人口は、前回調査の2010年比で9%増加した。結果として都市圏に住む人口の割合は86%となり、2010年(85%)から都市圏への人口集中がさらに進んだ。他方、地方では人口の伸びの鈍化が顕著で、センサス局の発表によると、全米の52%の郡で人口が2010年に比べ減少した。全米の人口増加率はこの10年間で7.4%(総人口:約3億3,145万人)と、前回の10年間で記録した9.7%(同:約3億875万人)から縮小した。
人種・民族に関する回答結果からは、米国が多様化していることがうかがえる。自身の人種を「白人のみ」と回答した人口は、約2億430万人で全体の57.8%と、依然として人種・民族別で最も多いが、2010年より8.6%縮小した。一方、多人種(2種以上の人種)の人口は、2010年には900万人だったのに対し、2020年には2.8倍の3,380万人に増加した(2021年8月16日記事参照)。
年齢別では、18歳以上の人口が10.1%増の約2億5,830万人となり、総人口の77.9%を占めた。それに対し、18歳未満の人口は1.4%減少し、約7,310万人だった。
住居数に関するデータも今回公開されており、全米の住居数は2020年4月時点で約1億4,050万戸と、2010年より6.7%増加した。住居数は、都市部を構成する郡では平均3.8%増えた一方、それら地域以外の郡では平均3.9%減少した。
共同宿泊施設の入居者の人口は3.2%増加し、約824万人となった。2020年の調査結果で最も多かったのは、大学・大学院の学生寮の入居者で279万人と、2010年より10.7%増加している。2番目に多かったのは矯正施設の入居者で約197万人だったが、2010年より13.1%減少している。
今回の国勢調査の結果を基に、向こう10年間における全米各州の連邦下院議員および州議会議員の選挙区割りが行われる(注1)ことになるため、米国メディアの中には「ゲリマンダリング(注2)の始まり」と報じているものもある(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版8月11日)。
なお、今回発表されたデータは概要版で、センサス局は完全版を9月30日までに発表するとしている。
(注1)州別の下院議席数の変更については、センサス局が4月時点で大統領に報告している(米センサス局、州別下院ブラック)。
(注2)特定の政党に有利な選挙区割りを行うことを指す。米国では州によって、州知事・議会が選挙区割りを決める州と、独立した委員会に選挙区割りの権限を委譲している州がある。
(吉田奈津絵)
(米国)
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