米カリフォルニア州の山火事拡大、野焼きなどの予防策必要
(米国)
サンフランシスコ発
2021年08月11日
米国カリフォルニア州森林保護防火局(Cal Fire)は8月5日、2021年初から同日までの山火事(森林火災)による燃焼面積が前年同期の2.5倍になっていると明らかにした。
2020年1~8月(5日時点)の燃焼面積は約26万エーカー(約1,052平方キロ)だったが、2021年同期は約66万エーカーとなり、日本の都道府県に例えると神奈川県(約2,416平方キロ)よりも広い面積が森林火災の被害を受けたことになる。
7月14日から州北部のビュート郡など複数郡にまたがって燃え続けている「ディクシー火災」は8月8日、同州史上2番目に燃焼面積の広い火災になった。燃焼面積は9日時点で約49万エーカーに及ぶが、制圧率は21%と低い。住民には避難命令も出ている。
同州では過去数年間で森林火災の被害が悪化している。これまで発生した森林火災の中で、燃焼面積で上位20位のうち10件が2017~2021年に、死者数で上位20位のうち7件が2017~2020年に、家屋・建物の破壊数で上位20位のうち15件が2015~2021年に集中している。
2018年に発生して同州史上最も多くの犠牲者を出し、最も多くの建物を破壊した「キャンプ火災」では、人口約2万7,000人の州北部の町パラダイスを中心に85人が死亡した。同州の調査によると、キャンプ火災の発火原因は、電力会社パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)が1921年に設置した電線によるものと判明している。2019年には「ウォールストリート・ジャーナル」紙(2019年7月10日)が「PG&Eは、電線から発火の可能性があると知りながら、長年放置してきた」と報じた。
また、現地メディアは他の要因として、州の土地管理当局が森林火災の予防策として講じる野焼きの面積が過去数十年間に減少していることを指摘する。1982~1998年に行われた野焼き面積は年平均3万エーカーだったが、1999~2017年には1万3,000エーカーに減少した。「ネイチャー・サステナビリティー」誌が2020年に発表した研究結果によると、状況を改善するには、メーン州と同等の広さに当たる2,000万エーカーを野焼きする必要があるという(科学メディア「マッシブ・サイエンス」2020年9月15日)。
(田中三保子)
(米国)
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