ドラギ首相、アフガニスタン情勢受けて声明発表、人権保護を強調

(イタリア、アフガニスタン)

ミラノ発

2021年08月19日

アフガニスタンで8月15日、首都カブールにタリバンが入ったことを受けて、イタリア政府は翌16日に声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。その中でマリオ・ドラギ首相は、アフガニスタン在住イタリア国民のイタリアへの帰還作戦について自国の軍に謝意を示したほか、「われわれの任務に協力してくれたアフガニスタン国民を守ることがイタリアの責務」であり、「人権、特に女性の権利を守るべく、欧州諸国とともに危機の解決に努めている」と表明した。

政府は続けて17日、ドラギ首相がドイツのアンゲラ・メルケル首相と電話協議をしたことも発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。アフガニスタンの情勢を受けて両国のリーダーが、両国の組織に近年協力してきた人々、また特にアフガニスタンの女性など最も弱いカテゴリーに属する人々の人権保護について議論したと明らかにした。加えて、アフガニスタンの安定、過去20年間で遂げられた人権と基本的自由の成果を守るべく、EUやG7、G20で取り得るイニシアチブについても検討したとしている。

アフガニスタンの一連の動きについては、大きな波紋が広がる一方、想定内だったとする向きもある。イタリアのシンクタンクの国際政治研究所(ISPI)は8月17日に発表したレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでパオロ・マグリ副所長の見方を発表。それによると、「(この状況に)あぜんとはしているものの、驚いてはいない」とし、「このように終わるであろうことはわかっており、われわれはただ、タリバンによる政権奪還のタイミングに関する予測を間違えた」としている。その上で、(1)今後立ち上がる政権の特性(20年前のタリバン政権と違うか)、(2)今回の明らかな大失敗の後の米国・西側諸国にとっての変化(どのような信頼性をもって「民主主義の回復」を導けるか)、(3)中国・ロシアを含む近隣地域のバランスの変化(特に、中国がアフガニスタンを自身の影響下に置けるか)という3つの論点が数日もしくは数カ月内に出てくると指摘している。これらに注目する必要がある一方で、欧州には、バルカンルートでの難民増加等、既に答えが明らかな4つ目の論点があるとした。

(山崎杏奈)

(イタリア、アフガニスタン)

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