7月の自動車生産・輸出・販売、年初来の回復基調は維持
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年08月12日
アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は8月4日、2021年7月の自動車(トラック・バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比20.2%減、前年同月比49.8%増の3万1,935台、輸出台数は前月比1.9%増、前年同月比2.4倍の2万3,177台だった(添付資料図1、図2参照)。ADEFAは発表の中で、7月の生産台数が前月比で大幅に落ち込んだのは「7月が冬のバケーションシーズンに当たり、各社が生産活動を調整したため」と分析。その上で「年初から続く生産台数の回復基調に変わりはない」とした。
輸出は、全体の7割を占めるブラジル向けが引き続き好調で、ブラジル向けの伸びが輸出台数全体を大きく押し上げた(添付資料表1参照)。経済補完協定(ACE)35号第65次追加議定書により2021年4月から域内原産割合が見直され、完成車の原産地基準を満たしやすくなったチリ向けも堅調に伸びている。
一方、7月の自動車の国内販売は前月より落ち込んだ。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、7月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比15.6%減、前年同月比5.5%増の3万1,340台だった(別添資料図3参照)。車種別の販売台数は、国産車の割合が高まる傾向が続いている(添付資料表2参照)。
ACARAは、需要に対して供給が追い付いていない、との見方を示している。需要が高まっている要因として、7月の為替レートの動きを挙げている。自国通貨と外貨を自由に交換できないアルゼンチンでは、非合法の為替取引に介在する為替レート(通称ブルーレート)があるが、7月以降はブルーレートが大きくペソ安に振れており、公式為替レートとブルーレートの乖離幅が拡大している。乖離幅が広がるほど外貨を持つ人の消費意欲は刺激されるためだ。また、ペソ安に加えてインフレが高止まりしていることも、換物需要を刺激している。ACARAは、2021年下半期の新車販売は好調を維持すると予測している。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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