石油産業法が施行
(ナイジェリア)
ラゴス発
2021年08月23日
ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は8月16日、石油産業法案(Petroleum Industry Bill: PIB)に署名し、石油産業法(Petroleum Industry Act: PIA)が発効した。連邦政府は、鉱業セクターの透明性確保と財政健全化を目的として2000年から法整備に向けた作業を進めていたが、当事者間の利害関係調整に難航していた。政府としては今回の施行によって、これまで不透明だった諸税制度を明確化し不正や汚職を撲滅するとともに、税金やロイヤルティーを減免することで新規投資を呼び込みたい考えだ。
今回発効したPIAの下での主な改正点は以下のとおり。
- 水深200メートル超の海底油田・ガス田の生産量に対するロイヤルティー率を最大7%引き下げ。
- ナイジェリア国営石油公社(Nigerian National Petroleum Company: NNPC)を株式会社化し、有限責任会社NNPC Limitedを設立。株式は、財務省と石油資源省が半分ずつ所有。また、同社の収益の30%を未開拓地域探鉱基金(Frontier Exploration Fund)に充当。
- 未開拓地域探鉱基金(Frontier Exploration Fund)、中・下流ガスインフラ基金(Midstream and Downstream Gas Infrastructure Fund)、環境保全基金(Environmental Remediation Fund)、廃止・廃棄基金(Decommissioning/Abandonment Fund)、ホストコミュニティー信託基金(Host Community Trust Fund)の創設。
- 各種ライセンスなどの規制監督機関として石油資源局(Department of Petroleum Resources)に代わり、上流規制委員会(Upstream Regulatory Commission)と中・下流石油規制局(Midstream and Downstream Petroleum Regulatory Authority)を設立。
PIA発効をめぐる業界の反応はさまざまだ。OPECのモハメド・バルキンド事務局長は、長年の立法化に向けた努力が実を結んだPIAは、ナイジェリアの石油産業の評価を高め、新たな投資参入に寄与するだろうと述べ、PIAの発効を歓迎した。他方、産油地域のリバース州のニエソム・ウィケ知事は、採掘活動による環境への悪影響を考えると、ホストコミュニティー信託基金への拠出額は不十分だと不満を示した。
なお、これまでのPIA施行に至るまでの経過については、添付資料を参照。
(谷波拓真)
(ナイジェリア)
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