バイデン米大統領、アフガニスタンからの救出作戦状況を会見で説明
(米国、アフガニスタン)
ニューヨーク発
2021年08月23日
米国のジョー・バイデン大統領は8月20日、アフガニスタンから米国民などを救出する作戦に関して、会見を開いた。現状を説明するとともに、引き続き作戦の遂行に注力する決意を表明した。
大統領は6日間(8月14~19日)で1万3,000人を救出したことを明らかにした。救出対象は現地にいる米国民に加え、米政府に協力するアフガニスタン国民(通訳など)と家族を含む。アフガニスタン首都のカブール空港に米軍を配置して安全を確保した結果、19日だけで5,700人を救助したとしている。
救出作戦について大統領は「生命の危険を伴い、結果は予断できない」と述べる一方、「母国に帰りたい米国民はわれわれが帰す」「司令官として必要な全ての力を動員する」との決意を示した。タリバンに対しては、救出作戦を妨害した場合に「迅速かつ強制力を伴う対応」を講じると伝えているとした。
バイデン大統領は、救出対象の最大8万人が避難するまでは、米軍の撤退期限を当初予定していた8月31日から延期する可能性を示唆している(米有識者がオンライン ブラック)。国防総省は8月20日、上下両院の軍事委員会に対して、アフガニスタン難民の移動や住居を負担するため、既存予算に上乗せするかたちで4億ドルを要求している(政治専門誌「パンチボウル」8月20日)。
今後の対応については、NATOなどを通じて同盟国と連携していく計画を示した。アントニー・ブリンケン国務長官は会見に先立ち、NATO担当相と面談し、共同声明で、アフガニスタンをテロリズムの温床にせず、現地での人権尊重を求めるなどの方針で一致している。国務長官は8月19日にはG7外相やEUの代表と会談しており、バイデン大統領は24日開催されるG7首脳会議で協議する予定だ。
また、米国は複数国との共同声明で、アフガニスタンの女性の権利に関する懸念を表明している。ブルッキングス研究所のバンダ・フェルバブ・ブラウン上席研究員は、現地女性の学校や医療へのアクセス、職業や移動の自由を確保するとともに、タリバン関係者と強制的に婚姻させられることのないよう、タリバンに呼び掛けるべきと提言している。
(藪恭兵)
(米国、アフガニスタン)
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