政労使、全雇用主に従業員の新型コロナワクチン接種か定期検査を勧告

(シンガポール)

シンガポール発

2021年08月25日

シンガポール人材省と保健省、全国労働組合会議(NTUC)、シンガポール国家雇用者連合(SNEF)の政労使パートナーは8月23日に発表した勧告で、全雇用主に対して、現在の従業員や新規採用者について、新型コロナウイルスのワクチンを接種していない場合に、定期的な検査を実施するよう求めた。

新型コロナウイルスの政府タスクフォースは8月6日に、(1)医療、高齢者の介護、12歳以下の子どもと接する労働者、(2)飲食、フィットネスクラブ、美容などパーソナルケア、(3)公務員について、ワクチンを接種するか、未接種者に定期検査を義務付ける「ワクチンまたは定期検査体制(VoRT)」の導入を10月1日から義務付けると発表していた(関連実写 版 ブラック ジャック)。政労使パートナーが発表した今回の勧告では、全ての雇用主に対して、職場ではワクチン接種者と未接種者についてそれぞれ異なる感染対策を適用することを求めている。まず、職場での感染リスクを低減するため、全ての雇用主に対して任意でVoRT体制を導入するよう勧告。また、職場でのイベント開催の際、雇用主は未接種者に事前検査をするよう求めることができるとしている。雇用主はワクチン未接種者に対して、抗原テストキットや宿泊施設での隔離など新型コロナウイルス関連の費用を自己負担するよう求めることができる。ワクチン未接種者に対しては、医療保険など雇用主が負担する新型コロナウイルスに係わる医療費補助の対象から外すことも可能だとしている。

今回の勧告では、全ての雇用主に対し、事業継続計画(BCP)などビジネス上の理由で従業員にワクチン接種の有無を聞くことを認めている。また、VoRTを導入した企業については、従業員にワクチン接種の証明の提出を求めることができるとしている。今回の勧告の詳細は人材省のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

政労使による今回の勧告で、雇用主はワクチンを接種していないことを理由に、従業員を解雇することはできず、また、双方の書面合意なしで無給休暇を取らせることはできないと強調している。しかし、雇用主は、ワクチン未接種の従業員が適正な感染対策を守らない場合には、雇用契約を停止することができるとした。

保健省によると、8月22日時点で2回のワクチン接種を終えた人は人口の78%に達した。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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