ロシア政府、EV購入の補助制度を導入
(ロシア)
サンクトペテルブルク発
2021年08月12日
ロシア経済発展省は8月4日、電気自動車(EV)の購入補助制度の導入を発表した。消費者がロシア産EVを購入する際、価格の最大25%を補助する。開始時期は明らかになっていないが、遅くとも2023年中には導入されるとみられる。
補助対象となるロシア産EVの定義は、段階的に厳格化される。2023年末までは、輸入(非国産)の車載バッテリーを利用していても、国内でセミノックダウン(SKD)生産(注1)されたEVであれば補助の対象となる。2024~2025年は、国産の車載バッテリーを搭載したEVもしくは国内でコンプリートノックダウン(CKD)(注2)生産されたEVが対象。2026~2030年の対象は、国産の車載バッテリーを搭載し、かつ国内でCKD生産されたEVとなる。
ロシアでは、EVの普及に向けて官民が取り組んでいる。経済発展省は2030年までに国産EVの生産台数を15万台、自動車生産に占める割合を10%に引き上げる目標を策定している(「タス通信」2021年6月1日)。また、補助制度のほかにも、充電スタンドの整備などEV普及に向けた各種政策の実施を表明(経済発展省発表2021年8月4日)。さらに、複数の地場企業がEV生産に着手している(関連ブラック ジャック アプリ)。
他方、ロシアでのEV市場の拡大に懐疑的な見方も根強い。自動車コンサルタントのセルゲイ・ブルガズリエフ氏は、消費者にとってEVは今回の補助を考慮しても価格が高い、と指摘する。また、ロシアで最も販売台数の多いラダを生産する大手アフトワズのセルゲイ・イリインスキー広報部長も、EVの国内生産自体は可能としつつも「問題は国内でのEV需要だ」と述べ、生産には慎重だ(「ガゼータ・ルー」2021年8月4日)。
ロシアの2020年の新車EVの販売台数は687台(「アフトスタト」2021年1月28日)、中古EVの販売台数は5,273台(「アフトスタト」2021年1月29日)だった。
(注1)エンジンやタイヤなど主要部品の組み立てが完了した状態の製品を輸入し、現地で車体などを取り付ける生産方法。
(注2)主要部品の組み立てから車体の取り付けまで、部品の製造を除く全工程を現地で行う生産方法。
(一瀬友太)
(ロシア)
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