シタラマン財務相、新型コロナ第2波発生後初の経済対策を発表
(インド)
ニューデリー発
2021年07月01日
ニルマラ・シタラマン財務相は6月28日、4月から5月にかけてインドを襲った新型コロナウイルス感染第2波を受け、影響の大きかった分野を対象にした経済対策を発表した。パンデミックからの経済支援、公共衛生分野の強化、成長と雇用の推進の3本柱からなり、医療体制の強化、観光を含む中小・零細企業の救済に重点が置かれている。財政規模は総額約6兆2,900億ルピー(約9兆4,350億円、1ルピー=約1.5円)で、新規施策を中心に、主な内容は以下のとおり。
1.パンデミックからの経済救済策
- 医療分野などへの信用保証制度導入(新規:1兆1,000億ルピー):うち医療分野に5,000億ルピーを割り当て、8大都市以外の地域を対象に医療・健康インフラの整備、拡充を促す。その他分野に6,000億ルピーを割り当て。
- 中小・零細企業向け「緊急信用保証制度」の拡大(1兆5,000億ルピー):2020年5月の緊急経済対策の一環として導入された同制度の保証枠を、これまでの3兆ルピーから4兆5,000億ルピーに引き上げ。
- マイクロファイナンス機関への信用保証(新規:750億ルピー):約250万の小規模債務者を対象に、マイクロファイナンス機関を通じて最大12万5,000ルピーまでの融資を保証。
- 観光セクターへの支援(新規):「新型コロナ禍」で影響を受けた観光業に携わる企業やガイドなどを新たに信用保証の対象とし、負債の帳消しや事業の再開を後押し。そのほか、観光ビザ発給再開後、最初の50万人については査証代を無料とする。期限は2022年3月31日までとし、期日より早く50万人に達した場合は終了。
2.公共衛生分野の強化(新規:2,322億ルピー)
感染第2波での医療崩壊の経験を踏まえ、医学生や看護師の人材育成、集中治療室(ICU)ベッド、酸素供給、医療機器・資材、医薬品の供給、遠隔診断、救急車サービスなど、総合的な公共医療インフラの整備を集中的に実施。小児科医療にも重点を置く。
3.成長と雇用の推進
企業の間接的な輸出支援として輸出保険の強化、農村部へのブロードバンドの普及、大規模電子産業向けに生産連動型インセンティブ(PLI)の期間延長など。
(村橋靖之)
(インド)
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