2040年までにガソリンとディーゼル重量物車両の新車販売を禁止へ
(英国)
ロンドン発
2021年07月21日
英国政府は7月14日、2050年までの輸送部門における脱炭素化へのロードマップを示した「輸送部門の脱炭素化計画:より良く、よりグリーンな英国」を発表した。同計画は、2020年3月に発表した「輸送部門の脱炭素化計画:課題の設定」に続くもの。
今回発表された計画では、ガソリンおよびディーゼル車の重量物車両(HGV)は、2035年までに重量3.5トン以上26トン以下の車両の、2040年までに26トンを超える車両の新車販売を禁止とすることを提案。また、より早い移行が可能なら販売禁止時期を前倒しすることも検討しており、同7月14日から9月3日までの期間で意見公募を開始した。航空分野では、2050年までに温室効果ガス(GHG)の純排出をゼロ(ネットゼロ)とするために、2040年までに航空会社の国内線とイングランドの空港運営をGHG排出ゼロとする目標を提案し、7月14日から9月8日までの意見公募に付した。このほか、2050年までのネットゼロ鉄道網の構築や、少なくとも4,000台のゼロエミッションバスの導入支援、海運の脱炭素化の取り組み強化などの計画が含まれている。
2035年までのネットゼロに向けた実現計画も公表
政府は同じく7月14日、自動車からの排ガス規制に関する政策提案書も公表し、同日から9月22日までの期間で意見公募を開始した。さらに同日、自動車の脱炭素化に向けた施策をまとめた「2035年の実現計画(2035 delivery plan)」も公表。これまで政府が発表したガソリンおよびディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止することや()、電気自動車(EV)の新車購入や充電設備設置のための補助金制度などがまとめられているほか、2035年までの行程表やマイルストーンなどが示されている。政府は2022年までに政府保有自動車の25%を超低排出ガス車に移行するとしていたが、同計画では新たに、2027年までに政府保有の自動車とバン計4万台以上をゼロエミッション車に移行することを打ち出している。
政府は同7月14日、EVのスマート充電(注)に関する意見公募に対する最終結果も公表。英国で販売される民間EV充電設備が、全てスマート充電が可能で、サイバーセキュリティやグリッド(送配電系統)の安定性などの最低基準を満たすよう義務付ける法案を、2021年内に提出するとした。政府は、スマート充電がEV移行による電力需要増加の影響を軽減することに貢献するとしている。
(注)電力需要が少ない夜間や再生可能エネルギーの発電量が多い時間帯にEVを充電する機能。これにより、EV普及が進むことで電力需要増加による電力システムの増強コストを抑えられ、消費者にも電気代の節約などのメリットがある。
(宮口祐貴)
(英国)
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