英政府、エネルギーシステムのデジタル化戦略発表
(英国)
ロンドン発
2021年07月27日
英国政府は7月20日、ガス・電力市場局(Ofgem)と英国研究・イノベーション機構(UKRI)の企業助成事業部門イノベートUKと共同で、温室効果ガス排出ネットゼロに向けてイノベーションを促進しコストを削減するための「エネルギーデジタル化戦略」を発表した。
政府はこの中で、エネルギーデータの収集と利用を最適化し、プライバシーとセキュリティーを保護しつつ、データ資産を公開してアクセス可能にするような基準と規制の枠組みを2020年代半ばまでに整備することを目指すとしている。また、太陽光発電、電気自動車(EV)、ヒートポンプなど多数の低炭素設備を含むシステム全体のエネルギー設備の可視性を大幅に向上させ、存在するデータやそのアクセス方法を容易に理解できる新サービスを提供する。さらに2030年以降には、システム運用者が全てのエネルギー設備を把握できるようにし、計画、予測、運用をより早く正確に、低コストで行える環境を整える。
政府は2020年12月に発表した「エネルギー白書」(関連ブラック ジャック ディーラー)の中で、2021年春にデジタル化戦略と「2021年版スマートシステムと柔軟性の計画」(英政府、電力供給のス無料 ゲーム)を公表すると明記していた。
V2Xや新機関設立などの意見公募も開始
政府は同じく7月20日、上記に関連し、EVを活用して送配電系統や家庭などへ電力を供給する技術「Vehicle-to-X(V2X)」の役割や課題について、10月12日までの意見公募を開始した。また、エネルギーシステムの脱炭素化に必要な長時間・大規模な電力貯蔵の普及面の課題についても、9月28日までの期間で意見公募を開始した。
さらに、政府とOfgemは同日、消費者負担の抑制とエネルギーシステムのレジリエンス(回復力)を両立させつつ、脱炭素化を進めるエネルギーシステムの改革案について、2つの意見公募を発表。ガス・電力系統の計画・開発や競争の促進を目的とした専門的で公平な独立機関「フューチャー・システム・オペレーター(FSO)」の設置(注)に関する意見公募と、ガス・電力市場を管理するための運用や技術的な仕様(エネルギーコード)の改革案に関する意見公募で、いずれも9月28日まで募集する。
(注)電力については送電大手ナショナル・グリッドの電力系統運用子会社の役割をFSOへ移管し、ガスについてはナショナル・グリッドが担う戦略的ネットワーク計画立案や長期予測などの機能をFSOへ移管するとしている。
(宮口祐貴)
(英国)
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