韓国政府系シンクタンク、北朝鮮の2021年の食糧不足を推計

(北朝鮮、韓国)

ソウル発

2021年06月09日

韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は、5月31日の北朝鮮経済レビューにおいて、「北朝鮮の農業および食糧状況:2020年の動向と2021年の見通し」を公表した。

2020年の北朝鮮の食糧需給のうち、需要量(穀物基準)は、国連食糧農業機関(FAO)/国連世界食糧計画(WFP)が2019年に推定した575万トンのデータを使用し、供給量は、(1)国内生産に関しては、最大500万トン程度と推計(注1)、(2)2020年の中国からの輸入量の実績である11万トン(注2)を加え、(3)27万トン程度の食糧支援があった(注3)と仮定し、最終的な食糧不足(需要量から供給量の差分)は35万~70万トンとした。

2021年の食糧需給は、2020年の春の干ばつ、農業資材の不足、夏場の自然災害により、低調な作付けを前提とした場合、穀物生産量が440万トン程度になると推計した(添付資料参照)。この場合、2019年のFAO/WFPの推定需要量(575万トン)と比較した場合、135万トンが不足する。2021年の穀物輸入量を20万~30万トン、国際社会からの支援を10万~30万トンと想定しても、2021年は70万トン~100万トンの食糧不足が生じるとしている。

(注1)韓国・農村振興庁が推定した2019年の北朝鮮の穀物生産量は464万トンだが、FAO/WFPと農村振興庁による穀物栽培に利用されている土地面積の差異を勘案し、2019年の穀物生産量を最大500万トンとした。なお、2019年に生産された穀物は2020年に北朝鮮国民に供給される。

(注2)公式統計分のみ。

(注3)2020年の1年間は、国際社会から北朝鮮への食糧支援のデータが十分ではないことから、2019年の食糧支援のデータを使用。

(当間正明)

(北朝鮮、韓国)

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