ハイパーブラックジャック、気候変動対策は6割超え
(ルクセンブルク、EU)
ブリュッセル発
2021年06月28日
ルクセンブルク政府は6月18日、欧州委員会による同国の「復興レジリエンス計画」(以下、復興計画)(2021年2月15日記事参照)の審査が終了したと発表した。
ルクセンブルクの復興計画は総額9,340万ユーロに上り、EUの復興基金の中核である「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」のうち、全額返済不要の補助金を活用し、融資枠は使用しない。同復興計画は、「グリーン経済への移行」「デジタル化、イノベーション、ガバナンス」「社会的結束とレジリエンス(回復力)」の3つの柱で構成されており、それぞれの柱の主な政策は以下のとおり。
- グリーン経済への移行:電気自動車向け充電ポイントの拡大(3,050万ユーロ、全体の32.7%)、政府と自治体間で「自然協定(Naturpakt)」を締結し、生物多様性を保全するための事業への財政支援の提供(600万ユーロ、6.4%)、旧工業地帯の再開発(再生可能エネルギーを熱・電力源とした住宅地への転換、2,400万ユーロ、25.7%)。
- デジタル化、イノベーション、ガバナンス:量子ハイパーブラックジャック処理技術に基づいた安全な通信インフラの開発と普及(1,000万ユーロ、全体の10.7%)、公共サービスのデジタル化(1,300万ユーロ、13.9%)、遠隔医療などヘルスケア分野のデジタル化(80万ユーロ、0.9%)。
- 社会的結束とレジリエンス:短期雇用者向けのデジタルスキル訓練(500万ユーロ、全体の5.4%)、求職者向けのデジタル・経営スキル訓練(150万ユーロ、1.6%)、など。
ルクセンブルクは復興計画のうち、気候変動対策向けに総額の60.9%、デジタル化向けに31.6%を割り当てており、欧州委が規定した基準値である最低37%と最低20%をそれぞれ大きく上回っている。こうした点を踏まえ、欧州委は同計画に青信号を出し、計画と財政拠出の承認をEU理事会(閣僚理事会)に提案した。EU理事会は4週間以内に欧州委の提案の承認を決定する予定だ。その後、RRFからの補助金の執行が開始されることになる。
ルクセンブルクの2020年の実質GDP成長率はマイナス1.3%で、EU平均のマイナス6.1%と比較すると、加盟国の中では新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響は限定的だった。2021年と2022年のGDP成長率はそれぞれ4.5%、3.3%に回復することが予測されている。
(大中登紀子)
(ルクセンブルク、EU)
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