バイデン米大統領、証券投資を禁止する中国企業の対象範囲を拡大、59社を指定

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年06月07日

ジョー・バイデン米国大統領は6月3日、監視技術分野を含む中国の軍事産業に関わる中国企業に対する米国人(注)による証券投資を禁じる大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。

今回の大統領令では、2020年11月にトランプ前大統領が導入した措置(トランプ米大統領、ブラック ジャック)に関して、対象企業の範囲を拡大し、59社の中国企業を投資禁止対象に指定した。米国東部時間2021年8月2日午前0時1分以降、米国人は証券などを通じた指定企業への投資が禁止される。既に保有している証券などは、その全部または一部を売却する取引に限り、2022年6月3日午前0時1分まで認められる。

トランプ前大統領の大統領令13959号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、国防総省が1999年国防授権法の第1237条に基づき、中国人民解放軍に協力しているとして「共産主義中国の軍事企業」と認定した企業を投資禁止対象としていた。バイデン大統領は今回の大統領令で、人権侵害に利用され得るとして、対象企業の範囲に監視技術分野も加えるとともに、対象企業を指定する権限を財務長官に移管した。

財務省は「非・特別指定国民 中国軍事・産業複合企業リスト(NS-CMIC List)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題したウェブページで、指定された中国企業のリストを公開するとともに、今後、追加指定などがあれば同ページで21 トランプを更新していくとしている。また、「よくある質問(FAQ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のページでも、今回の規制に関する一問一答を加えている。例えば、そのうち905番のFAQでは、「米国人はNS-CMIC Listに指定された企業とはいかなる取引も行ってはならないのか」との問いに対して「否。大統領令は指定企業の証券の売買に関してのみ適用される。例えば、指定企業および子会社の製品・サービスの売買は禁止されない」としている。

(注)米国市民、永住者、米国の法律または米国内の管轄権に基づいて組織された事業体(外国支社も含む)または米国内にいる個人が含まれる。

(磯部真一)

(米国、中国)

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