IMD世界競争力ランキングでスイスが初の1位に

(スイス)

ジュネーブ発

2021年06月23日

スイスの国際経営開発研究所(IMD)が6月17日付で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした世界競争力ランキング2021で、スイスは1位を獲得した。スイスは前年3位で、スイスが1位を獲得するのはランキングが開始された1989年以来、今回が初となる。2位はスウェーデン(前年は6位)、3位はデンマーク(2位)で、前年に1位だったシンガポールは5位に後退した。

スイスは、同ランキングの4つの指標のうち「国内経済のパフォーマンス」で前年の18位から7位へと大きく順位を上げた。「政府の効率性」は前年と同様に2位だったが、「ビジネスの効率性」は5位(前年9位)、インフラが1位(3位)と順位を上げた。「政府の効率性」の中では財政状況と制度的枠組みが、「ビジネスの効率性」の中では企業の財務状況が、インフラにおいては教育制度の項目が特に高く評価された。

IMDのレポートは、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、経済危機を回避し競争力を高めた国々の特徴として、「イノベーションへの投資」「デジタル化」「福利厚生システム」「社会的結束力を高めるリーダーシップ」の4つの要素が優れていたと指摘した。

また、IMD世界競争力センター所長を務めるアルトゥロ・ブリス教授は、スイスをはじめとするEU加盟国以外、または(スウェーデンやデンマークなどの)ユーロ圏外の欧州の国が上位に入っていることを指摘した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でサプライチェーンが全世界レベルで危機に直面する中、これらの国々は欧州市場に容易にアクセスできるメリットを享受する一方で、EUに加盟していない独立性により機動力を発揮して危機に対処することができたとの見解を示した。

日本は前年の34位から3つ順位を上げ、31位となった。国内経済、雇用、科学インフラの項目で高く評価された一方で、政府の財政状況や企業の経営慣行の項目の評価が特に低かった。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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