バイデン米政権、インフラ投資計画で超党派上院議員と合意、新規支出は5,790億ドル

(米国)

ニューヨーク発

2021年06月25日

米国バイデン政権は、米国雇用計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの提案を受けて超党派の上院議員グループで調整を続けてきたインフラ投資計画について、6月24日にバイデン大統領と同グループで会合を開き、合意に至ったとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政権側は当初の米国雇用計画の規模(2兆2,500億ドル)を縮小した譲歩案を共和党に提示していたが(関連ブラック ジャック 勝ち)、両者は折り合うことなく交渉は頓挫していた。これを受けて、超党派グループが新たなインフラ投資計画を作成し、政権側と調整を続けていた。

声明によれば、合意案では道路や橋、電気自動車(EV)の充電設備などの輸送部門のインフラ整備に3,120億ドル、ブロードバンドや電力インフラなどの非輸送部門のインフラ整備に2,660億ドルが充てられ、新規支出は合計で5,790億ドルとなる(詳細は添付資料表参照)。また、同分野で毎年度支出される分と合わせた支出規模は5年間で9,730億ドル、8年間で1兆2,090億ドルにも及ぶとしている。また、財源については、米国雇用計画に含まれていた法人税率の引き上げや、共和党が主張していたガソリン税の引き上げなどは含まれておらず、歳入庁(IRS)の徴税強化や未使用の失業保険給付金の活用、2020年の新型コロナウイルス対策予算の未使用額などから賄うとしている。

バイデン大統領は今回の合意を受けて、「私たちの誰もが望んだものを全て手に入れたわけではない」と認めつつ、「今回の合意は、われわれが機能し、職務を遂行し、重要なことを実行できるということを世界に示している」と述べた。また、声明の中では、議会で今回の合意案を速やかに可決し、大統領府に送ることを求めている。

しかし、今回の合意案が議会をスムーズに通過するかどうかは不透明だ。超党派で作成された同案だが、共和党上院院内総務のミッチ・マコーネル議員(ケンタッキー州)は同案への態度をまだ明らかにしていない。また、民主党内からも一部、反発の声が上がっている。エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)は、支出規模が当初より減額されていることについて「(当初計画の)一部を切り取るのではなく、全額を支出していく必要がある」と述べ、下院議長のナンシー・ペロシ議員(カリフォルニア州)は既に発表されている米国家族計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを念頭に、「民主党が財政調整措置を利用して可決しようしている法案(米国家族計画)と一緒でなければ、下院では超党派の合意案は検討されないだろう」と述べている。今回、一部共和党議員と合意に至ったことは大きな前進だが、米国雇用計画の成立には、米国家族計画も巻き込んで、さらなる紆余(うよ)曲折が予想される。

(宮野慶太)

(米国)

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