新型コロナ対策、海上輸送の乱れ、コンテナ不足が在ロシア日系企業に打撃

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年06月03日

新型コロナウイルス感染症対策として導入された市民・経済の活動制限措置や海上輸送の乱れ、世界的なコンテナ不足が、在ロシア日系企業に打撃を与えている。2020年1月~2021年3月の間に「新型コロナ禍」に起因して発生した問題のサプライチェーンへの影響の有無について聞いたところ、「影響あり」と回答した企業が全体の92.8%に上った。

ジェトロは2021年4月21日~5月5日、ロシアに所在する日系企業約210社を対象にアンケート調査を実施し、78社から回答を得た。「影響あり」と回答した企業のうち、直接、企業活動に影響を与えた事項として「ロシアにおける市民・経済活動制限措置」を挙げた企業が79.7%、「ロシア市場の低迷」が78.1%に達した一方、「ロシアの工場操業停止」は37.5%にとどまった(添付資料表参照)。これらが発生した時期に関しては、2020年4~9月が中心だった。具体的な影響については、主に「在庫不足」(50.0%)、「販売の一時停止・遅延」(43.8%)、「生産の一時停止・遅延」(35.9%)で、「ロックダウン後の急速な需要回復に供給が追い付かない」(自動車)といった声が上がった。

間接的に企業活動に影響した事項としては、物流に関するものが多かった。「海上輸送の遅れ」と「海上輸送運賃の高騰」を挙げた企業がともに79.7%に上り、「世界的なコンテナ不足」(78.1%)、「航空便の運航停止・減少」(67.2%)が続いた。これらが生じた時期は、主に2020年10月~2021年3月だった(添付資料図参照)。具体的な影響に関しては、「輸送の一時停止・遅延」(62.5%)と「物流コストの上昇」(59.4%)だった。主なコメントとして、「海上輸送に問題がありルート変更した」(自動車部品)、「アジア発の物流について輸送費の高騰と遅延が発生」(機械・エンジニアリング)、「部品供給不足による生産遅延、航空・海上輸送手段の制限による出荷不足の発生」(精密機器)などがあった。

上記以外の間接的な影響として、「ルーブル為替レートの下落」を挙げた企業が85.9%に達した。これは、2020年4月~2021年3月の間に継続して、在ロシア日系企業の活動に影響をもたらしている。「ルーブル安による調達コスト増、それに伴う販売価格の引き上げ」(化学)といった声が散見され、「販売価格の上昇」につながっていると回答した企業が40.6%に上った。

(齋藤寛)

(ロシア)

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