タイ貿易交渉局、RCEP批准は10月の見通しと発表
(タイ)
バンコク発
2021年05月21日
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は5月17日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定について、2021年10月にも批准書をASEAN事務局に寄託する見通しだと発表した。タイ国会は、2月9日にRCEPの批准を承認している(関連ブラック ジャック 無料)。RCEP協定は、ASEAN加盟国6カ国と非ASEAN諸国3カ国が批准書を寄託してから60日後に発効する。
DTNによると、10月に批准書を寄託するため、3つの関係局が作業を進めている。財務省関税局は、RCEP加盟国からの輸入関税に関する財務省通知の発行準備を行っており、商務省外国貿易局(DFT)は、原産地証明書(C・O)発行システムを更新している。工業省工業経済局(OIE)は、RCEP協定に基づく自動車部品の輸入条件にかかる発表準備を行っているという。
タイは日中韓との貿易拡大に期待
DTNによると、RCEPは韓国、日本、中国と締結している既存のFTAよりも、便益が大きいとする。具体的には以下のとおりだ。
1.韓国
生鮮・乾燥果実(マンゴスチン、ドリアンなど)、冷凍果実・ナッツ類の輸入関税を基準税率の8~45%から発効10~15年目までに0%に引き下げる。また、パイナップルジュースは10年目までに50%から0%に、水産品〔生鮮・冷蔵・冷凍の魚、乾燥した魚・エビ(塩・塩水漬け)〕は15年目までに10~35%から0%に引き下げる。
2.日本
加工された野菜(トマト、アスパラガス、にんにく粉など)の輸入関税を16年目までに9~17%から0%、冷凍パイナップルを16年目までに23.8%から0%、焙煎(ばいせん)したコーヒーを16年目までに12%から0%に引き下げる。
3.中国
加工されたパイナップル・同ジュース、ココナッツジュース、合成ゴムの輸入関税を20年目までに7.5~15%から0%に、自動車部品(シグナルライトバルブ、カーミラー調整システム)、自動車用電気ケーブル・セットの輸入関税を10年目までに10%から0%に引き下げる。
2020年のタイとRCEP加盟国の貿易額は7兆8,700億バーツ(約27兆5,450億円、1バーツ=約3.5円)で貿易総額の57.5%を占め、輸出額は3兆8,300億バーツ(輸出総額の53.3%)に上る。主な輸出品目は、自動車・部品、プラスチック・ペレット、宝石・貴金属、コンピュータ・部品、化学品、ゴム製品、機械・部品、生鮮・冷蔵・冷凍果物などだ。
(シリンポーン・パックピンペット、北見創)
(タイ)
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