ブルガリア大統領が議会解散、7月11日に再び総選挙実施へ
(ブルガリア、EU)
ウィーン発
2021年05月18日
ブルガリアのルメン・ラデフ大統領は5月12日、同日に議会(一院制、定数240)を解散し、7月11日に再び総選挙を実施すると発表した。
同国では4月4日に議会選挙が行われ、2009年から政権を握る与党「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」と民主勢力同盟(UDF)連合により組織したGERB(注)が第1党となったが、過半数の議席を獲得するには至らなかった(添付資料表参照)。その後、議席を獲得した全政党がGERBとの連立を拒否したため、GERBは組閣を断念。第2党の新党「There is Such a People(ITN)」のアントノエタ・ステファノバ党首候補、第3党の社会党(BSP)のコルネリア・ニノバ党首もそれぞれ組閣を放棄した。その結果、ラデフ大統領は議会を解散することとなった。
議会解散を受け、5月12日に暫定政府が発足、暫定首相にステファン・ヤネフ大将が指名された。ヤネフ氏はブルガリア軍に31年間所属する軍人で、2017年の暫定政府では防衛相を務めた経験がある。その他の閣僚メンバーは、大学教授やビジネスマンなど各分野の専門家、2020年夏の反政府デモの主導者も含まれており、大統領は暫定政府の主な目的は自由と公平で民主的な選挙の実施を確保するためとしている。
5月5日付のオーストリアの「ディ・プレッセ紙」は直近の世論調査を引用し、7月の選挙は前回4月と似たような結果が見込まれると報じた。GERBは第1党の座を守り、ポピュリストのITNは第2党になる見通し。2つの新党、ITNと「Stand Up! Mutri out!(IMV)」は、GERBだけではなく、BSPと「権利と自由のための運動(MRF)」との協力も拒否しているため、安定政権の誕生は難しいとみられる。そのため、ラデフ大統領はGERBとITNに対して共通の妥協点を見いだし、政治的な苦境を克服するよう促している。
(注)GERBとUDFによる連合。ここではGERBの名称を使用。
(ブラディーミル・カネフ、エッカート・デアシュミット)
(ブルガリア、EU)
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