フェイスブックの暗号資産ディエム、米国に活動拠点を移転
(スイス、米国)
ジュネーブ発
2021年05月18日
米国フェイスブックが主導してきた暗号資産(注)ディエム(Diem)を運営するディエム協会(本社:ジュネーブ)は5月12日、同協会子会社のディエムネットワークUSとシルバーゲートキャピタルとの提携と、同協会の主要な活動拠点の米国への移転を発表した。この提携に基づき、シルバーゲート銀行が米ドルと連動する「ディエムUSD」の独占発行団体となり、その決済をディエムネットワークUSが運営する「ディエムペイメントネットワーク」が行うこととなる。
同暗号資産については、前身の「リブラ」の運営団体が2019年10月にジュネーブで発足したものの、フェイスブックのプライバシー保護体制や各通貨当局の通貨主権に抵触しかねないことから、各国が懸念を表明するところとなっていた()。2020年12月に、複数通貨バスケット連動の暗号資産に対する各国の反発が強いことから、暗号資産と団体の名称を「ディエム」に変更し、ドル、ユーロ、ポンドなどと連動する暗号資産の発行を優先することとしていた(関連ブラック ジャック ルール)。
ディエムが主要な活動拠点をスイスから米国に移すのは、米ドル連動の暗号資産の運用開始を優先し、デジタル通貨に関する米国規制への対応を重視したためとみられ、これに伴い、金融市場監督庁(FINMA)は5月12日、スイスでの暗号資産を用いた決済システムのライセンス申請を取り下げたことを発表した。
この体制変更について、5月13日付「ルトン」紙は「ディエムは可能な限り早急に運用を開始する必要があり、暗号資産により寛容な米国のバイデン政権の暗号資産導入の加速という大きな流れの恩恵を受けるだろう」とする見方と、「今後のディエムのグローバル展開を考えると、特に中国やインドなどの国については、スイスの中立性が強みとなったかもしれない」とする専門家の意見を紹介している。
(注)ブロックチェーン技術を用いたブラック ジャック トランプ やり方交換ネットワークで取り扱われる金融資産のこと。
(和田恭)
(スイス、米国)
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