通信市場開放で住友商事含む日英米企業連合が新規参入

(エチオピア)

アディスアベバ発

2021年05月25日

エチオピア通信庁は5月22日、通信分野自由化の一環として、日英米の企業連合「グローバルパートナーシップ(Global Partnership for Ethiopia)」の新規参入を認めると発表した。企業連合には、住友商事が参加している。ボーダフォン(英国)を中心に、出資先のボダコム(南アフリカ共和国)やサファリコム(ケニア)に加えて、英米の公的開発金融機関(英国CDCグループ、米国際開発金融公社:DFC)が参画・協力する。入札提示額は8億5,000万ドル(「リポーター」紙2021年5月22日)。通信庁の発表によれば、グローバルパートナーシップは、今後10年間で80億ドルを投資する(エチオピア通信庁5月22日発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

新規通信ライセンスの入札は、アビィ・アハメド首相が進める国営企業の民営化や経済自由化の一環で、通信分野では国営エチオ・テレコムの部分民営化と2社の新規参入が打ち出されていた。今回の入札では、事前に公聴会や意見募集期間を設けるなど、透明性確保への高い意識がみられた。入札には、2社の募集枠に企業連合2社が参加し、いずれも技術要件は満たして財務要件の審査中だった。審査の途中、政府高官は入札価格が想定よりも低いとして、入札やり直しの可能性も取りざたされていた。アビィ首相は、入札価格が想定を下回った理由として、新規参画の通信事業者には携帯電話端末を使った金融サービスの提供を当面認めないためとの認識を示しており、その機会損失額は5億ドル相当と発言している(「キャピタル」紙2021年5月17日)。現地では、通信事業者のエチオ・テレコムが、携帯電話端末を使った金融サービスの提供を認められたところで、5月11日に同サービスの展開を始めたばかりだ。これを受けて、これまで「当面は認められない」とされてきた新規参入予定の通信事業者による金融サービス提供も、アビィ首相は、約1年後には認めるとの方針転換を先ごろ示唆している(「キャピタル」紙2021年5月17日)。

なお、グローバルパートナーシップの参入が認められた一方で、シルクロード開発基金(中国)が支援していたMTNグループ(南ア)は、最終審査で参入が認められなかった。入札提示額は6億ドルだったとされている。今回の入札の結果、新規参入は2社の枠のうち1社にとどまり、今後、もう1件の入札をあらためてやり直すのかは、今のところ不明だ。

(関隆夫)

(エチオピア)

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