内務省が第13回大統領選挙の候補者7人を発表
(イラン)
テヘラン発
2021年05月27日
イラン内務省は5月25日、6月18日に行われる大統領選挙への立候補が認められた候補者7人を発表した。5月11~15日の申請期間に592人(2017年の前回選挙時は1,636人)が立候補を届け出、イスラム法学者などで構成する護憲評議会が「イスラム体制に忠実か」などの条件に基づいて資格審査を行っていた。
立候補が認められたのは以下の7人(かっこ内は現職ポスト)。
- サイード・ジャリーリー〔公益判別会議(注)メンバー〕
- モフセン・レザーイー(公益判別会議書記)
- イブラーヒーム・ライーシー(司法府長官)
- アリーレザー・ザーカーニー(国会議員)
- アミールホセイン・ガージーザーデ・ハーシェミー(国会副議長)
- モフセン・メフルアリーザーデ(キーシュ自由貿易特区理事など)
- アブドゥルナーセル・ヘンマティ(中央銀行総裁)
欧米との対話路線に否定的な保守強硬派の有力候補とされるライーシー司法府長官が選ばれた一方で、ハサン・ローハニ大統領の現政権でイラン核合意などを進めてきた政権幹部のジャハーンギーリー第1副大統領や、ラーリージャーニー元国会議長ら、穏健派や改革派が支持する有力候補者は失格となった。
政府系メディアのイスラーム共和国通信(IRNA)は5月26日、護憲評議会が実施した候補者資格審査について、ローハニ大統領が閣議で「選挙の競争性を確保するために、候補者として認められる者が増えることを望んでいる」とするコメントを紹介したが、同大統領が「前日に発表された候補者の最終リストは、幾つかの失望を引き起こした」とし、「この問題について、セイエド・アリ・ハーメネイ最高指導者と連絡を取った」と述べたと報じた〔5月26日イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
また、改革派に近いとされるハバール・オンライン通信は5月26日、改革派のテヘラン市議会議員モルテザー・アウウィーリー氏の「改革派の有力者の立候補が認められなかったことにより、われわれは冷たい選挙に直面している。護憲評議会によるこのような審査は驚くべきものであり、彼らはその基準を明らかにしていない」というコメントを掲載した。
一方、保守強硬派に近いとされるファールス通信は5月25日、経済政策が不調だったローハニ大統領も護憲評議会の審査を通過した人物であるとし、審査結果に対する反対の声はおかしいと述べて護憲評議会の審査を支持した。
(注)最高指導者が任命した構成員からなる会議。護憲評議会と国会の間の調整を役割とする。
(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)
(イラン)
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