政府主導のEC大型セール、売り上げ大幅増で閉幕
(中国)
中国北アジア課
2021年05月14日
中国商務部は5月13日の定例会見において、政府主導の電子商取引(EC)の販促イベント「双品網購節」(期間:4月28日~5月12日)の成果を報告した。
同報告によれば、期間中の売り上げは前年開催時に比べ26.7%増の6,928億元(約11兆7,776億円、1元=約17円)となった。なお、2020年11月1~11日に開催された中国最大のECイベント「双十一」(ダブルイレブン)において、アリババが運営する「天猫」の注文額は4,982億元(2020年11月18日記事参照)だった。
「双品網購節」は、商務部、国家郵政局、中国消費者協会が主導し、ECプラットフォーム企業や宅配事業者らの参画で2019年に開始し、2021年で3回目。例年、労働節休暇の時期に合わせて開催される。「双品網購節」の「双品」には、「ブランド(中国語:品牌)を消費する、品質の良い商品を消費する」との意味が込められている。
同イベントの対象は、実物商品のみならず、飲食業や旅行業などのサービスも含まれる。中国経済は、新型コロナウイルスの影響からいち早く回復をみせ、消費も力強い伸びを示す中、比較的回復が遅れた飲食業や旅行業などを含め、幅広い分野の消費を後押しする狙いがあるとみられる。
国産ブランドや「シルクロードECパートナーシップ国」関連商品の人気を強調
商務部は、今回の「双品網購節」の特徴として以下の点などを強調した。
- 国産の高品質な商品が消費者の支持を受け、国産ブランドの売り上げは全体の73.8%に達した。
- 品質を重視した消費が旺盛で、除菌効果のある洗濯機やカスタマイズ式の家具の売り上げはそれぞれ前回の約2倍、ウェアラブルデバイスも前回比67.2%増だった。
- オンラインのサービス消費の力強い回復がみられた。うち飲食業の売り上げ(テイクアウトなど)は前回比51.1%増、オンライン旅行は3.3倍に上り、プライベート団体旅行、ファミリー旅行、紅色旅行(中国共産党の革命の歴史などにゆかりのあるスポットを巡る旅行を指す)などが好調だった。
- 「シルクロードECパートナーシップ国」の商品の1日当たりの売り上げが、3月に比べ20.9%増加した。具体的な品目は、ロシア産のチョコレート、コロンビア産のコーヒー、ブラジル産の靴、チリ産のワイン、イタリア産の腕時計や眼鏡など。
(注)「シルクロードECパートナーシップ国」とは、中国政府が提唱する「一帯一路」構想の経済貿易協力において、EC分野の協力を進めるための新たなプラットフォーム。当該分野の政策面の意思疎通や協調を図る。2016年以降、同パートナーシップ国は22カ国に拡大している(2021年5月時点)。
(小林伶)
(中国)
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