関税免税措置の終了で輸入品価格上昇の懸念、現在は外貨ショップが次々開業
(ベネズエラ)
ボゴタ発
2021年05月26日
ベネズエラ政府は5月1日、食料品や衣料、医薬品、電気製品、自動車部品、政府が指定する食料、タイヤなど合計3,890品目の関税免除措置の期限を5月31日までとする法令4,604号(5/1付特別官報6,623掲載)を公表した。
これにより、6月以降、輸入品の価格が大きな影響を受ける可能性が高まっている。政府は、関税収入を正常化させると同時に、部品生産など裾野の広い自動車関連産業の再活性化を見込んでいるとみられる。
この関税免除は当初、2018年7月から2019年12月までの時限的措置で、当時深刻だったモノ不足解消のため設けた。2020年以降も対象商品を修正しながら数カ月ごとの延長を続けていた。5月1日以降も同様の延長措置が見込まれたものの、31日までのわずか1カ月の延長となった。対象商品(付帯リストI、IIとIVに掲載される3,890品目)の輸入事業者は6月1日から原則として関税の支払いが求められる。
なお、政府が輸入する新型コロナウイルス対策の資機材関連(付帯リストIII)と資本財、ブラック ジャック ディーラー ルール通信機器(関税率表に「BK」「BIT」と表示)については、関税免除措置を2021年12月31日まで延長する。
自動車部品関連の業界団体FAVENPAは新制度を歓迎している。FAVENPAのバウティスタ会長によると、これまで部品のほか中古完成車まで関税無税で輸入されており、国内生産を大きく圧迫していた。
国内では、輸入関税免除措置の影響や経済の実質ドル化にも後押しされ、各地に「ボデゴン」と呼ばれる外貨ショップが次々と開業した。現地通貨ボリバルの大幅な下落や経済制裁の影響で正規の輸入が困難となった代わりに、個人レベルで仕入れられた商品まで市場にあふれ、多くは外貨で販売されるようになった。生活必需品のみならず、あらゆる高級品やぜいたく品が輸入され、例えば、カラカス市内のあるボデゴンでは日本産ウイスキー「響」が1本160ドル前後で販売されている(4月末時点のジェトロ確認)など、バリエーションも非常に豊富となっている。
(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)
(ベネズエラ)
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