エジプト首相がリビア訪問、インフラ協力などで合意

(エジプト、リビア)

カイロ発

2021年04月30日

エジプトのモスタファ・マドゥーリー首相は4月20日、リビアの首都トリポリを訪問し、暫定統一政府のアブドゥルハミド・アル・ダバイバ首相と会談し、協力覚書(MoU)に署名した。MoUは保健衛生や電力、各種産業などに関する11件で、通信やインフラなどのプロジェクトを実行することで合意した。また、エジプト人労働者のリビアでの就業再開など2国間の人的交流もMoUに含まれた。カダフィ元政権の崩壊後、約10年にわたって混迷するリビアの安定と安全を支援するとともに、2国間の政治経済関係の強化を図るものだ。停止中だったカイロとトリポリ間の直行便が21日に再開され、在トリポリ・エジプト大使館も業務再開に向けた準備を開始する。マドゥーリー首相には閣僚11人(電力・再生可能エネルギー、石油・鉱物資源、教育、国際協力、保健、住宅、運輸、貿易・産業など)や投資・フリーゾーン庁長官が同行した(4月20日Egypt Today)。

国連統計によると、リビアは人口約670万人(2019年時点)にとどまるが、輸出の90%以上を石油が占める産油国だ。上述のとおり、カダフィ政権崩壊前はエジプトの労働者もリビアに職を求めていた。近年は中国のほか、イタリアやスペインなど欧州との貿易が中心だが、エジプト工業連盟の幹部によると、エジプトも建設分野を中心にリビアでのビジネス案件が既にあるといい、今回のMoUでさらなる関係深化を期待している。また、エチオピアとのダム問題でも同国に支持を求めており、多面的な協力関係を構築しようとしている。

(常味高志)

(エジプト、リビア)

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