イランで各メディアがJCPOA合同委員会開催について報道
(イラン)
テヘラン発
2021年04月12日
「包括的共同行動計画(JCPOA)」の再建に向けて、米国とイランは4月6日からオーストリア・ウィーンで、英国、フランス、ドイツが仲介役を務めるかたちで間接協議を行っている。米国を除くJCPOA当事国および仲介役のEUは9日、第18回合同委員会として2回目の会合を行った。1回目の会合(6日)では、米国の経済制裁とイランの核開発問題の分野で、それぞれの専門家を含む2つの専門家作業部会を設立することに合意していた。
本協議について、イラン国内の反応を各種報道でみると、政府系のイスラーム共和国通信(IRNA)は4月9日、「全てのトランプ(による)制裁は反JCPOAで、恣意(しい)的な区別をせずに解除されるべき」とする、モハマド・ジャバッド・ザリフ外相のツイッターのコメントを掲載した。
保守系のPress TVは4月10日、見出しで「ウィーンでの対イラン制裁に関する議論の結果はほとんどなし」としながらも、事実関係に加えて、今回のイラン側代表団を率いたアッバース・アラグチ外務次官による「議論は正しい方向に進んでいると考えている。特に制裁解除の分野は非常に複雑なため、議論を継続しなければならない」とするコメントを紹介している。
また、保守系のFARS通信は4月11日、国会議員の1人が、議会の公開セッションで政府へ向けて「米国が主張している制裁の一部の解除は、これまでのイランの政策と矛盾している。制裁解除の検証には3カ月以上かかる」と述べ、ウィーンにいる交渉チームに向けても「急がないで注意すべき。全ての制裁を解除する必要がある」と発言したことを報じた。
一方、比較的穏健なメディアとされているハバル・オンライン通信は4月11日、交渉の詳細については発表されていないとしつつも、参加国は会合を有益だったと評価しているとした。また、イランの専門家による「イランと米国は共通の見方に達し、以前の姿勢から少しステップ・ダウンした」とするコメントも掲載した。同通信は「イランに対する米国の戦略を変化させたものは何か」と題する記事も掲載(4月11日)しており、その中で3月27日のイランと中国の25年にわたる協力協定締結()が大きく影響したとする外交専門家のコメントを掲載し、今回の合同委員会の開催について肯定的に報じている。
会合は引き続き、今週も行われる見通し。
(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)
(イラン)
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