新型コロナ情勢好転で非常事態宣言を解除、5月末にはワクチン接種証明書導入へ
(フィンランド)
ロンドン発
2021年04月30日
新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢が改善しているフィンランドで、規制緩和に向けた動きが続いている。政府は4月27日、変異種を主体とした感染拡大を受け、3月1日に発令していた非常事態宣言を解除。国内の感染数の減少とワクチン接種数増加による感染者の重症化リスクの減少を踏まえ、通常の政府権限で管理できる段階まで状況が沈静化した、と判断した。オックスフォード大学などが運営する「Our World in Data」によると、4月28日時点のフィンランドの新型コロナワクチン1回目接種率(人口比)は28.8%に達しており、EU27カ国の中ではマルタ、ハンガリーに続き3番目の高水準となっている。
非常事態宣言解除に先立ち、政府は4月19日から、飲食店の営業を地域別に席数・時間制限を設けた上で許可した。21日には、規制緩和の全体像を示したロードマップを公表。感染が抑えられている地域で、50人までの集会が可能となり、5月には50人を超える集会も行政からの許可を得た上で可能となる。美術館や図書館なども再開する。ワクチン接種は、高リスク者への1回目の接種を5月に完了し、就労世代への1回目接種と高齢者・高リスク者ヘの2回目接種は8月の完了を目指す。
5月末からワクチン接種証明書を発行
国内での制限緩和が進む一方、輸入感染を警戒し、水際対策は継続する。政府は4月22日、現行の入国制限を5月25日まで延長すると決定。シェンゲン協定加盟国(注)ではアイスランドを除く全ての国から、加盟国以外ではオーストラリア、韓国、シンガポール、ルワンダ、タイ、ニュージーランドを除く全ての国から、不要不急の入国を引き続き制限する。商用旅行は、重要物資の供給継続に不可欠な場合などに限り、入国を認める。
5月末からは、フィンランド独自のワクチン接種のデジタル証明書を段階的に導入・発行し、同証明書を認めるEU加盟国との間での渡航再開に活用する予定。利用は無料で、オンライン上のデジタル医療サービス「My Kanta Pages」で入手できるようにする。ワクチン接種証明をめぐっては、EUが域内共通の「デジタル・グリーン証明書」を6月以降に導入することを目指しているが(関連カジノ ブラック ジャック)、フィンランド政府は既に証明書導入に向けた準備が進展していることを踏まえ、EU共通制度を待たずに安全な渡航を後押しする。
(注)ブルガリア、キプロス、アイルランド、クロアチア、ルーマニアを除くEU22カ国と、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイス。
(杉田舞希)
(フィンランド)
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