米カリフォルニア州、州内27政府機関のZEV推進計画を公開

(米国)

ロサンゼルス発

2021年04月08日

米国カリフォルニア州は3月30日、州内27の政府機関のZEV(注1)推進の取り組みをまとめた「ZEV Action Plan」を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2020年8月にカリフォルニア州において、熱波の激化による電力需給の逼迫に伴う計画停電を20年ぶりに実施したことなどを踏まえ()、ギャビン・ニューサム州知事は、気候変動に対して迅速に対応する必要があると判断し、9月23日に車両のZEV化を推進する行政命令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出した(関連実写 版 ブラック ジャック)。これにより、乗用車の新車販売は2035年以降、中大型車は2045年以降、コンテナ陸送用のドレージトラックは2035年以降、オフロード車両や機器は可能な限り2035年以降、それぞれZEVとすることが義務付けられた。実質的に、ガソリン車やディーゼル車の新規販売は禁止され、電気自動車(EV)や燃料電池自動車などに置き換えられる。

また、この行政命令に基づき、カリフォルニア州経済促進知事室(GO-Biz:Governor’s Office of Business and Economic Development)は2021年2月、他の29の同州政府機関と連携して、「California Zero-Emission Vehicle Market Development StrategyPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。この中で、「巨大で平等な市場を開発すること」をゴールとしつつ、「大気質の向上」「温室効果ガスの削減」「クリーンな輸送機関へのアクセス」「経済発展と雇用」の4つを成果目標とした。また、「車両」「インフラ」「最終利用者」「労働力」の4つを柱とした。

今回、同州の各政府機関が発表した各アクションプランは、同州経済促進知事室による戦略を踏まえたものだ。このうち特筆すべきものとして、同州において、ZEV政策を中核的に進めている、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB:California Air Resources Board)のアクションプランPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が挙げられる。まず、同プランでは、気候変動政策の根幹をなすスコーピングプランについて、21世紀半ばまでの州のカーボンニュートラルの達成を視野に入れて見直しをすることが盛り込まれている(現時点での目標は、温室効果ガスの排出を2030年までに1990年の40%未満に削減)。また、今後30年間でカリフォルニア州の大気質の向上と温室効果ガスの排出目標を達成するために必要な、技術と具体的な行動を特定するための統合的な計画である2020モバイルソース戦略が重要としている。

さらに、規制の制定や見直しとして、乗用車やトラックの新車販売だけでなく、バス運行者に加え、ライドシェアサービス提供者、空港シャトル運行者などの運行者側に対する規制を導入することが盛り込まれた。また、車両の対象については、コンテナ陸送トラック、ラストマイル配送(注2)車両、公共車両、ごみ収集トラック、小型(utility)トラックなどが追加された。車両以外のものでは、輸送用冷凍冷蔵ユニット、商用港内艇、鉄道機関車、フォークリフト、小型オフロード用発動機へと、排出ゼロを目指す対象を大幅に拡大することが示された。そして、これらの規制導入を円滑化するための補助制度の検討についても盛り込まれている。

このように、カリフォルニア州では、カーボンニュートラルに向けて、輸送分野における取り組みが着実に進んでいる。同州の取り組みは、気候変動対策を政権の重要政策の1つに位置付けるバイデン政権の方針とも合致している()。

(注1)ZEVとは、ゼロエミッションビークルの省略形で、温室効果ガスを排出しない無排出車を指す。

(注2)事業者とユーザーをつなぐ最後の区間における配送を指す。

(佐伯徳彦)

(米国)

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