連邦経済競争委員会、炭化水素法改正案の不承認を国会に要請
(メキシコ)
メキシコ発
2021年04月15日
メキシコ連邦経済競争委員会(COFECE)は4月12日、下院で審議中の炭化水素法改正案(関連ブラック ジャック ディーラー)について、成立すれば石油製品市場の競争条件に悪影響を与えるとして、承認しないよう要請する意見書を国会に送付したことをプレスリリースで明らかにした。
改正案は、国防やエネルギー安全保障、国家経済の差し迫った危機に際し、許認可を一時的に取り消す権限をエネルギー省やエネルギー規制委員会(CRE)に与えるもの。COFECEは意見書で、これらの危機の定義が明確でないため、エネルギー省やCREに広範な裁量権を与えることになる点を指摘、許認可付与の制度をゆがめることで企業の新規参入を阻害するものだと批判している。また、許認可の他者への譲渡に関する当局の承認制度を変更(注)することで、申請が却下された場合に企業が否認された理由を知ることを困難にしている点も問題視。同法案が成立すれば、「不当で意図的な規制」により法的不確実性が高まり、石油製品・サービスの供給者が減少し、競争の欠如が価格の上昇を招き、間接的に消費者にも悪影響を与えると警告している。
改正案では、石油精製や輸送・貯蔵・流通・販売など中流・下流部門の許認可取得の要件に「エネルギー省が別途定める貯蔵能力」を加えるとともに、改正法の施行時にエネルギー省が定める貯蔵能力を有しない企業に対して許認可を取り消すことを定めている。この点について、COFECEは「十分な貯蔵能力を備えることは操業上必要なことかもしれないが、それを許認可の申請時に求めることは、許認可を確実に得られる確証のない段階での貯蔵インフラへの投資を迫ることとなり、(鶏が先か卵が先かのジレンマのように)許認可の不在と貯蔵インフラの不在をめぐる悪循環を招く」と指摘した上で、「法改正により要件を満たさなくなった事業者に対して許認可を取り消すことは、既に事業者が獲得している権利の侵害だ」と批判した。
COFECEは「メキシコ石油公社を含む公的・民間企業が石油製品市場で操業するためには、許認可の迅速な発出が必要」であり、「不当に差別的な審査がなされるべきではない」という一方、同法改正を通じて「連邦政府が石油精製品の組織的な盗難を防止しようとする取り組みについては正当だ」とした。
(注)法定審査期間内に当局が何ら回答をしなかった場合は、申請が却下されたと見なす制度に変更する内容。現行制度では、当局が回答をしない場合は申請が承認されたと見なされる。
(松本杏奈)
(メキシコ)
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