英フィンテック・ウイーク開催、新型コロナや気候変動なども議論
(英国)
ロンドン発
2021年04月30日
フィンテックの世界的な中心地の英国で、「英国フィンテック・ウイーク2021」が4月19日から23日の5日間、ウェビナー形式で開催された。金融や政府、テクノロジーなどの大手企業などがそれぞれの視点から、フィンテックについての規制や取り組み、将来展望などについてパネルディスカッションを行った。
リシ・スーナック財務相は初日の基調講演で、英国のフィンテックと金融サービス分野を支援する野心的なプログラムの実施を発表。英国版「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の可能性を追求する共同タスクフォースの設立や、ビザなどの各種規制緩和などについて言及し、英国がデジタル化の最先端であり続けるためにフィンテックのスケールアップを支援するとした(2021年4月21日記事参照)。
今なお世界中で感染拡大を続ける新型コロナウイルスに関連するセミナーも開催された。パンデミック発生時に迅速な対応が求められた金融サービス分野のデジタル化や顧客サポートなどを含めた具体的な対応策について、金融機関の専門家らが議論。リーマン・ショックを契機とした世界金融危機の時とは異なり、新型コロナ禍では顧客や事業者、地域社会へのサポートなどの点で、銀行が非常に重要な役割を果たしていることも指摘された。
世界的に関心が高まる環境・気候変動対策についても、フィンテック・ビジネスと絡めたテーマで討論が行われた。多くのフィンテック企業は過去10年間で環境問題に積極的に関与するようになり、投資家にとってESG投資(注)がより魅力的になるために関連ルールも強化してきたとし、グリーンファイナンスや持続可能なビジネス手法を促進する上での規制当局の役割などについて、パネリストらが意見を交わした。11月に開催される「第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26、開催地:英国グラスゴー)」までに業界が取り組むべき課題なども議論された一方で、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みは遅れており、より迅速な対応が求められる、と問題提起する場面なども見られた。
(注)企業のビジネス状況のみではなく、投資先企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資。
(尾崎翔太)
(英国)
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