欧州産業連盟、気候中立目標達成に向け対話キャンペーン開始
(EU)
ブリュッセル発
2021年03月01日
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は2月19日、欧州各国の会員団体と協力し、「気候対話(Climate dialogues)」と名付けたキャンペーンを開始したことを発表した。経済活動の中で「どのように」気候中立(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成すべきか、その手段について政策立案者や市民、NGO、科学者、産業界など関係者間の議論を深めることを目的としている。同連盟のウェブサイト内に特設ページを設けたほか、今後、会議やウェビナーなどを開催する予定で、欧州域内だけでなく、域外からのキャンペーン参加も期待しているとした。
エネルギー供給や投資を重点分野に掲げる
同連盟はこのキャンペーンを通じて、欧州産業界が直面する「いまだ答えが出ていない『どのように』気候中立を達成するかという疑問(HOW questions)」について議論して解決策を生むことを期待し、特に以下の4つの分野を主要テーマとして掲げた。
- 「エネルギー供給」:低価格かつ低炭素のエネルギーの確実な供給方法や、代替燃料・エネルギー源をさらに普及させるための最も効果的なインセンティブなどについて考える。
- 「産業協力」:国境を越えた大規模事業に参画したい企業への支援方法を探る。
- 「投資」:必要な分野への投資を拡大し、呼び込む方法やインセンティブなどを考える。
- 「グローバルレベルでの行動」:世界レベルでの取り組みが遅れる中で、どのようにEUの気候目標を達成するか、国際社会でEUが取るべき行動などについて考える。
同連盟のピエール・ガタズ会長は2月23日に開催された「EU Industry Days」(注)での講演で、「しっかりと率直に対話をしなければ、欧州は世界で最初に気候中立を達成できない」と強調し、気候中立の達成へ向け、課題を円滑に克服し、それに伴うビジネスチャンスを最大限に活用するには、関係者が議論し、ともに解決策を見いだすことができるかによるとして、政策立案者や市民社会、産業界などに対して、同連盟の「気候対話」への参加を呼び掛けた。
(注)各産業の課題や関連する政策について各産業界の関係者で議論する、欧州委員会が毎年開催するイベント。2021年は2月23~26日に開催。
(滝澤祥子)
(EU)
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