オランダ下院選挙、ルッテ首相率いる与党が第1党維持へ

(オランダ)

アムステルダム発

2021年03月19日

オランダでは3月17日から下院選挙の開票が行われ、オランダ放送協会(NOS)の18日午後11時台の報道によると、マルク・ルッテ首相率いる最大与党の自由民主国民党(VVD)が第1党を維持し、第2党には中道左派で連立与党の民主66(D66)が右派の自由党(PVV)を抑え、第2党となる見込みになった。

投票率は80%前後で、前回(80.2%)と同様に関心が高かった。また、投票は3月15~17日の3日間とし、70歳以上の高齢者には郵便投票も可能とするなど、新型コロナウイルス感染拡大防止のための特別な措置がとられた。

今回の下院選挙(定数150議席)で、VVDは、改選前の32議席から35議席に増加する見込みとなった(添付資料表参照)。ルッテ内閣は2021年1月に、育児手当を不当返還させていた問題の責任をとり総辞職し(関連実写 版 ブラック ジャック)、暫定的に指揮をとっていた。これまでの新型コロナウイルスへの対応について、夜間外出禁止令に反対する市民の抗議デモなどがあったものの、一定の評価を受けたといえる。また、高学歴層に支持者が多いD66は、4議席増の23議席を獲得することが予想され、第2党となる見通しだ。環境問題、住宅問題などへの取り組みが広く支持されたとみられる。第3党はPVVで、3議席減の17議席となる見込み。連立与党のキリスト教民主同盟(CDA)は19議席から15議席、また社会党(SP)も14議席から9議席、さらに緑の党も14議席から8議席に、それぞれ改選前の議席数から減少する見込み。一方、上院で一時は多数を占め、その後、党内で内紛のあった右派の民主主義フォーラム(FVD)は2議席から8議席に増加となりそうだ。

今回の選挙では、VVDが第1党となるものの、単独過半数に届かないため、同党および第2党となったD66が他党との連立協議を行う。

オランダ産業経営者連盟(VNO-NCW)とオランダ中小企業連盟(MKB)は3月18日、「安定した国際志向の連立政権を迅速に発足させ、戦争以来の最大の危機に対処すること期待する」とし、最大の優先事項として、増税なき復興計画の早期策定、環境問題などに対する「実現可能な解決策」などを求めると共同で声明を発表した。

(高橋由篤)

(オランダ)

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