日本から22社がオンラインで出展、世界最大規模のオーガニック食品見本市「ビオファ」
(ドイツ)
ベルリン発
2021年03月02日
ドイツ・ニュルンベルク市で毎年2月に開催される世界最大規模のオーガニック食品見本市「ビオファ(BIOFACH)」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今回はeSPECIALと題して2月17~19日に完全オンライン形式で開催された。
オンラインイベントには1,442社が出展し、136カ国・地域から1万3,800人が訪問した。会期中は、イベントプラットフォーム上で40万通以上のチャットのやり取りがあり、1万回以上のビデオミーティングが設定されるなど、参加者間で活発な商談が行われた(注1)。
ドイツ有機食品業界団体(BOLW)の発表(2月17日付)によると、ドイツのオーガニック食品市場は2020年に149億9,000万ユーロ(前年比22%増)に拡大した。これによって、食品市場全体に占めるオーガニック食品の割合は6.4%(暫定値)に増加したことになる。
オーガニック食品市場拡大の背景には、「新型コロナ禍」による消費者の生活習慣の変容がある。2021年1月15日に連邦食料農業省(BMEL)が発表した消費者アンケート結果(注2)によると、「新型コロナ禍」による変化として、「自炊の頻度」は19%、「有機食品購入頻度」は15%が激増もしくは微増と回答した。また、9%が「新型コロナ禍」後も有機商品の購入を増やす意向を示している。
このような市場拡大傾向を好機と捉え、ジェトロは抹茶、みそ、しょうゆ、ゆず果汁、日本酒などの日本産オーガニック食品を扱う22社の出展を支援した。
産地直送の「伊勢茶」を世界各国へ輸出販売する企業、みて(神奈川県)は、前年に引き続きビオファに出展した。同社は、オンラインイベントの特徴を生かして会期前々日からバイヤーへの声掛けを開始。TeaやRegionalといったキーワードを用いて、プラットフォーム上でターゲットバイヤーを検索し、積極的にチャットでやり取りをすることで会期中に数十社との商談を実施した。同社の森口英則代表は「まずは細々調べるよりもなるべく多くのコンタクトを行うことを優先し、チャットを通じて商談に値する業者か否かを見極めた。商談まで至った場合、成約可能性が高い相手に対して継続的にフォローすることが何より大事」と、オンラインイベントの活用方法について語った。
次回のビオファは、2022年2月15~18日に開催される予定。
(注1)数値は、併催されたオーガニック化粧品見本市ビバネス(VIVANESS)との合計値。
(注2)BMELが定期的に調査会社などに委託して実施している、有機食品の消費に関する電話での標本アンケートで、調査結果は「有機バロメーター」と呼ばれている。最新の調査は2020年7月末から8月末にかけて実施したもので、全1,011本のインタビューの結果が分析されている。
(望月智治)
(ドイツ)
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