スタンドアローン方式のプライベート5Gネットワークを導入
(アイルランド)
欧州ロシアCIS課
2021年03月24日
エリクソン・アイルランドは3月18日、アイルランドで初のスタンドアローン(SA)方式(注1)の第5世代移動通信システム(5G)・モバイル・プライベートネットワーク(MPN)の提供を開始した。ボーダフォン・アイルランドと、技術研究機関アイルランド・マニュファクチュアリング・リサーチ(IMR)との連携により実現した。
これは、生産拠点における高性能ワイヤレス接続の効果を調査するプロジェクトの一環。アイルランド中部に位置するマリンガ―のIMRの施設内に、エリクソンのプライベートネットワーク技術を組み込んだ。
SA方式の5Gによる超低遅延を実現することで、IMRとボーダフォン・アイルランドは革新的なスマートマニュファクチュアリングのユースケースを示すとしている。自動生産ライン、予知保全(注3)、モバイルロボティクス、拡張現実、仮想現実などが主な分野となる。エリクソンの最新の5G技術を用いることで、モノのインターネット(IoT)の応用事例を共同開発し、将来にわたってアイルランドの製造業が競争力を維持できるようにするとしている。
エリクソン・アイルランドのジョン・グリフィン最高経営責任者(CEO)は「5Gは産業と技術の未来に変革をもたらすインパクトを有している。アイルランド初となるSA方式の5G・MPNの提供開始は同国にとって大きなステップになる。ボーダフォン、IMRとのこの連携が経済変革を促進し、新型コロナウイルスからの復興を加速させる、多様な5Gのユースケースへとつながる」とコメントした。
プライベート5Gの導入は欧州を含め世界で拡大している。国際電気通信連合(ITU)は2020年6月の発表の中で、2020年の世界におけるプライベート5G技術のトライアル数予測を「100超」から「1,000未満」へと引き上げており、新型コロナウイルスの影響を受けてか、医療やロジスティクス分野でのトライアルも見られるとしていた。
(注1)4Gの基地局と5Gの基地局を連携させて動作させるノンスタンドアローン方式に対し、独立した5Gコアネットワークにより5Gの基地局を単独で動作させる方式。
(注2)ボーダフォンによると、ある特定の場所をカバーする小規模な5Gのネットワークのことで、より高い管理性や安全性を担保したもの。
(注3)設備の状態をデジタル化して管理、故障などの予兆が現れた際に修理を行えるようにする。
(山田恭之)
(アイルランド)
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