UAEが新たにリモートワークビザとマルチ観光ビザを導入

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2021年03月31日

アラブ首長国連邦(UAE)政府は3月21日、「リモートワークビザ」と「マルチ観光ビザ」という新たな2つのビザ制度を導入すると発表した。エミレーツ国営通信など国内主要各紙が報じている。

UAEで居住許可を得るためには、通常は国内に所在する企業に雇用されるか、または自身で国内に企業を保有している(あるいはその他の就労、帯同などの要件を満たす)必要がある。しかし、この「リモートワークビザ」を取得すると、外国に所在する企業に勤めていても(または外国で自身のビジネスを行っていても)、UAEでの1年間の居住許可が与えられ、UAEの良好な治安や居住環境・通信インフラを活用しながらリモートワークを行えるようになる。

「マルチ観光ビザ」は、UAEに観光目的で訪れる旅行者に対して、数次の入国ビザが与えられるもので、5年間1つのビザで複数回の入国が可能になる。1回の入国につき90日間の滞在許可が下り、90日間の延長も可能となる。日本国籍保有者は渡航前のビザ取得が免除されているため、特にメリットのある制度ではないが、事前のビザ取得が必要な国籍の旅行者にとっては、渡航の都度ビザを取得する必要がなくなり、申請料も節約できる。

なお、いずれのビザも、全ての国籍保有者が対象とされているが、具体的な詳細や運用開始時期は発表されていない。

UAE政府は、2016年の内閣改造で「寛容担当」国務相のポストを設け、2019年を「寛容の年」(The Year of Tolerance)と位置付けるなど、外国人に対する寛容な政策を積極的に進めている。とりわけ「新型コロナウイルス禍」が始まった2020年後半には、飲酒に対する罰則の廃止や婚姻関係にない男女の同居の合法化、就労許可が10年間有効(通常は2~3年)となる「ゴールデン・ビザ」の対象拡大など、外国人にとって有利な法改正を矢継ぎ早に行った()。

これらの背景として、UAEが外国人にとって魅力的な就労・居住環境であることをアピールし、優秀な高度外国人材を集め、国力の増強を図りたいということと、短期的な目標としては、「新型コロナ禍」からの早期の経済回復を目指したい意図があるとみられる。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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