EU理事会、ミャンマー国軍幹部ら11人への制裁決定
(EU、ミャンマー)
ブリュッセル発
2021年03月23日
EU理事会(閣僚理事会)は3月22日、ミャンマー国軍による権力掌握とその後の市民デモに対する軍や警察による弾圧を受けて、国軍幹部ら11人に対し、EUへの入域禁止や資産凍結などを内容とする制裁措置を発動したと発表した。同理事会は2月22日にミャンマー情勢を非難する「結論」を発表し、責任者をターゲットにした制裁措置を準備しているとしていた(関連ブラック ジャック サイト)。
さらなる制裁措置も検討、一般市民へは悪影響が及ばぬよう配慮
今回の制裁対象となったのは、ミンアウンライン国軍司令官兼国家統治評議会議長をはじめとする国軍幹部10人と、2020年11月の総選挙の結果を無効にすべく国軍の権力掌握後に選挙管理委員会の責任者に就任したテインソウ委員長を含めた計11人。対象者はEU加盟国への入国だけでなく、域内でのトランジットも禁止される。また、対象者がEU域内に保有する資産を凍結するとともに、EU企業や市民が対象者に資金などを提供することも禁ずる。
軍事転用の可能な一部品目の輸出禁止など、イスラム教徒ロヒンギャへの人権侵害に対する既存の制裁措置は維持される。ロヒンギャに対する残虐行為に関しても、別途14人が同様に入域禁止と資産凍結の対象となっており、今回と合わせて計25人がEUの対ミャンマー制裁措置の対象者となった。
EU理事会では、国軍が所有もしくは管理する経済主体に対する追加の制裁も含め、あらゆる政策オプションを排除せず引き続き検討していくとしている。他方、「EUはミャンマー人および同国の民主主義への移行の確固たる支持者だ」と述べ、EUの措置により一般市民に悪影響が及ばないように確保していく点を強調した。
制裁の発表を受けて、ジョセップ・ボレル・フォンテーリャス外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼任)は22日付のツイッターで、「軍事政権へのわれわれのメッセージは、武力行使を止めること、収容された人々の解放、対話の席に着くこと」の3点だと述べた。
なお、EU理事会は同じく22日、ミャンマー情勢以外にも、中国の新疆ウイグル自治区、北朝鮮、リビア、ロシア、南スーダンおよびエリトリアの各国・地域における人権侵害に関しても、個人や関係機関を対象にした制裁措置の発動も発表した。
(安田啓)
(EU、ミャンマー)
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