進むプラスチック包装対策、政府も2022年4月から包装税導入へ
(英国)
欧州ロシアCIS課
2021年03月19日
英国で、大手スーパーマーケットによるプラスチック容器の削減とリサイクルに向けた取り組みが進んでいる。
テスコは3月10日、イングランド南西部とウェールズの171店舗に、ラップやポテトチップスの袋など柔らかいプラスチック(Soft plastic)のリサイクル向けに、収集ポイントを設置することを発表した。同社によると、こうしたプラスチックは多くの自治体でリサイクルされておらず、埋め立てられることが多いとしている。利用者が持ち込んだプラスチックは洗浄、分別、加工され、食品や美容製品向けの包装へとリサイクルされる。
セインズベリーズもこれに先立つ2月18日、プラスチック製包装フィルムのリサイクルシステムを一部店舗に試験的に設置すると発表した。イングランド北東部の63店舗で実施し、2021年末までの完全導入を目指すとした。対象となるのはサラダや冷凍食品などの包装に用いられるポリプロピレン製のフィルム。同社はプレスリリースの中で、環境コンサルティング会社バルパック(Valpak)の調査結果を引用、2019年の英国のプラスチック製包装ごみのうち、ポリプロピレン製は26万6,000トン、そのうち8万トンがフィルムとした。同素材のフィルムは家庭でのリサイクルが難しいことに触れ、今回の取り組みの効果に期待を寄せた。
ドイツ系のアルディも2月25日、イングランドとウェールズで、全ての卵の容器を2021年末までにプラスチック製からパルプ製に切り替える計画を発表。これにより年900トンのリサイクルできないプラスチックが削減可能としている。
一方、英国政府は3月3日、2022年4月から「プラスチック製包装税(Plastic Packaging Tax)」を導入することを発表した。課税対象となるのは、プラスチック製包装材の生産者と輸入者(注)。ただし、リサイクル材を30%以上含む包装や、包装の大部分をプラスチック以外の素材が占めるものについては課税対象外となる。課税額は包装1トン当たり200ポンド(約3万400円、1ポンド=約152円)。同税については2021年財政法案に盛り込まれ、下院で審議されている。
(注)生産量または輸入量が年10トン未満の生産者と輸入者は免除。
(山田恭之)
(英国)
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