2021年度予算案を発表、大企業向け法人税を2023年から引き上げ

(英国)

ロンドン発

2021年03月09日

英国政府は3月3日、2021年度(2021年4月~2022年3月)の予算案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(詳細概要については、添付資料図1、図2、表を参照)。新型コロナウイルス感染拡大に伴って大きな打撃を受けた経済の立て直しを図るべく、雇用支援策の延長を実施する一方、財源確保のために、2023年から大企業を対象に法人税を引き上げるとしている。

イングランドで3度目のロックダウンが続く中、リシ・スーナック財務相は演説で当面の優先事項について、国民の雇用と企業を守ることと強調。2020年3月から実施している一時帰休従業員への給与給付制度(CJRS、関連ブラック ジャック 無料)を2021年9月末まで延長する。また、個人事業主への所得支援制度(SEISS)についても同様に延長する。企業支援では、観光や外食・宿泊業などのホスピタリティー業界に対するVATについて、従来の20%から5%へ引き下げる措置を9月末まで延長、また、イングランドの小売り・ホスピタリティー・レジャー産業向けの事業税免除は6月末まで継続する。英国政府は新型コロナウイルス関連対策費として、2020年度、2021年度合わせて650億ポンド(約9兆7,500億円、1ポンド=約150円)の歳出を見込む。

法人税率は1974年以来、約半世紀ぶりに引き上げる。2023年4月から適用が開始され、年間利益が25万ポンド以上の企業を対象に、現行の19%から25%に上がる。他方、5万ポンド以下の企業は19%のまま据え置く。年間利益が5万ポンド超25万ポンド未満の企業には、25%未満の軽減税率を適用する。この増税策に対し、スーナック財務相は、これまで新型コロナウイルス関連対策で政府が企業に1,000億ポンド超の支援をしてきたことを勘案すると、妥当なものだとし、増税後もG7の中では依然として最低税率だと主張している。増税策により、2023年度には119億ポンド、2024、2025年度にはそれぞれ163億、172億ポンドの増収につながると予測している。

英国予算責任局(OBR)は2021年のGDP成長率を4.0%、2022年を7.3%と予測している。また、2020年は通年でマイナス9.9%と記録的な落ち込みとなっており(2020年第4四半期のGDP成長率は前期比でプラス維持も、通年では記録的ブラック)、英国経済が新型コロナ前の水準に回復するのは2022年半ばになるとの見通しを示している。

(尾崎翔太)

(英国)

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