退職年齢の段階的引き上げの原則が明確に

(中国)

北京発

2021年03月24日

3月12日に公表された中国の「第14次5カ年規画(2021~2025年)および2035年までの長期目標綱要」(関連ブラック ジャック 必勝)は、法定退職年齢を段階的に引き上げることを明記した。引き上げについては、小幅に調整する、弾力的に実施する、分類して実施する、統一的に計画して各方面に配慮する、といった原則の下で進めるとした。2月26日の国務院記者会見で、人力資源社会保障部の遊鈞副部長は、関連部門と退職年齢の引き上げに関する具体案を現在検討していると表明していた。

中国では3月時点で男性の法定退職年齢が満60歳、女性幹部(中国語では「干部」)が満55歳、女性ワーカー(中国語では「工人」)が満50歳となっているが、高齢者人口の増加に伴い、政府は以前から法定退職年齢の見直しを検討してきた(注1、2)。

人力資源社会保障部の遊副部長は、平均寿命が中華人民共和国成立当初の40歳前後から77.3歳(2019年)に延びていること、教育を受ける期間が長くなって勤続年数が減少していること、60歳以上の人口構成比が高まっていること、生産年齢人口減少による労働力不足など、法定退職年齢の設定が低すぎることによる問題が顕著になっていると指摘した(注3、4)。

中国労働・社会保障科学研究院の金維剛院長は、法定退職年齢を段階的に引き上げる原則について、「小幅に調整する」とは毎年1カ月あるいは数カ月ずつ引き上げる経過措置を取ること、「弾力的に実施する」とは一律の措置を取らず、個人に選択の余地を与えること、「分類して推進する」とは集団や性別によって差異を設け、現行政策からの継続性を保つこと、「統一的に計画して各方面に配慮する」とは中高年労働者の再就職・起業促進政策などの関連政策や保障措置と併せて推進していくことと説明した(「新華社」3月13日)。

また、懸念されている法定退職年齢引き上げによる雇用への影響について、全国政治協商会議(国政助言機関)委員で中国社会科学院世界社会保障研究センター主任の鄭秉文氏は、法定退職年齢の引き上げにより短期的には若年層の失業率が上昇すると見込まれるが、中長期的には経済発展によってこの問題は解消されるとの見方を示した(「財経」3月16日)。

(注1)第13次5カ年規画(2016~2020年)でも、法定退職年齢の漸進的な引き上げを実施する方針は盛り込まれていた。

(注2)「工人」と「幹部」の認定については地方によって状況が異なる。現行の女性従業員の定年退職年齢の詳細については、ブラック ジャック 必勝を参照。

(注3)国家統計局によると、2019年末時点で60歳以上の人口は2億5,388万人と、全人口の18.1%を占めている。

(注4)遊副部長によると、2012年以降、毎年平均300万人以上の生産年齢人口(16~59歳)が減少しており、第14次5カ年規画期間には3,500万人が減少すると予測されている。

(張敏)

(中国)

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