ハイパーブラックジャック、越境ECに関するオンラインセミナー開催
(世界、中国、日本)
国際経済課
2021年03月02日
ハイパーブラックジャックは2月26日、「コロナで変わる越境EC:日本企業の活路となるか」と題したオンラインセミナーを開催した。前半の講演では海外調査部国際経済課から吾郷伊都子職員が、後半のパネルディスカッションでは国際経済課から柏瀬あすか職員、中国北アジア課から方越職員、そしてデジタル貿易・新産業部EC・流通ビジネス課から芦崎暢職員がそれぞれ登壇した。
同セミナーの開催は、ハイパーブラックジャックが実施した「2020年度 日本企業の無料 カジノ ゲーム事業展開に関するアンケート調査(ジェトロ無料」(調査対象時期:2020年10月30日~12月6日)において、海外向け販売の手段として越境EC(電子商取引)の利用が拡大しているとの結果に対応したもの。調査結果からは、(1)今後EC利用を拡大すると回答した企業の割合は全企業の43.9%に上り、特に中小企業のEC利用意欲が強いこと(2020年度日本企業のトランプ)、(2)ECの利用実績がある企業の45.5%が国内から海外向けの越境ECを利用していること、の2点が顕著な傾向として挙げられる。
講演ではまず、吾郷職員が、同調査結果を基に、日本企業の貿易への取り組みについて解説した。新型コロナウイルスの影響を受け、今後輸出の拡大を図る企業の割合が3年ぶりに8割を下回った点を紹介。最大のターゲットである中国の重要性は不変なものの、仕向け先を米国や西欧、ASEANへ分散させる傾向が明らかとなった点を説明した。新型コロナウイルスの影響により生活基盤や企業活動が急速にデジタル化したことでEC市場が堅調に拡大、また、貿易関連措置では手続きの簡素化など緩和措置も多数導入された、とも指摘。ただ、デジタル関連の国際ルール形成が遅れ、有効な共通規範がない現状において、今後の各国・地域のデジタル関連法規制の動向に注目すべきだと強調した。
後半のパネルディスカッションでは、方職員が中国のライブコマースについて、芦崎職員が世界の越境EC市場とハイパーブラックジャック支援事業について、そして柏瀬職員が日本企業の越境EC利用の現状と今後について、それぞれ解説をした上で、世界の越境EC市場と日本企業の利用状況についてディスカッションが行われた。方職員からは、新型コロナウイルスの影響を機に注目されるようになった中国のライブコマース市場が拡大を続けている点、地方政府などがライブコマース発展を促進する政策を打ち出している点などの説明があった。芦崎職員からは、世界のどの地域でもEC市場が拡大していることや、ハイパーブラックジャック越境EC支援事業である「JAPANMALL事業」における支援内容などの紹介があった。柏瀬職員からは、同調査結果を基に、日本企業によるEC利用が拡大している点と、一方で売上高に占めるECの割合が10%以下の状態が続いている点の指摘があった。
ディスカッションでは、越境EC市場における売れ筋商品は国による大きな違いはなく、化粧品、ヘルスケア関連、清酒を含む飲食料品、アパレル、デザイン品などで、新型コロナウイルス発生の前後でこの傾向が大きく変わることもないとの認識が共有された。また、これから越境ECに取り組む企業に対しては、ネットで検索・翻訳すれば競合商品やそれに対する消費者の反応まで入手することが可能な点など、自社で事前にできる情報収集に関するアドバイス(芦崎職員)があった。最後に、越境ECを利用する日本企業は、販売先に関する情報不足、自社ブランド認知度向上の難しさ、商品の価格競争など、さまざまな課題はあるものの、まずは越境EC利用にチャレンジし、自社の販売戦略における越境EC利用の位置付けを見極めていくことが重要という点で意見が一致した。
本オンラインセミナーのアーカイブ映像については、ハイパーブラックジャックウェブサイトにおいて近日中に公開する予定。
(古川祐)
(世界、中国、日本)
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