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(ニュージーランド)

アジア大洋州課

2021年02月05日

ニュージーランド政府は1月28日、電気自動車やハイブリット車などの輸入を促進することを目的として、低公害車(クリーンカー)輸入基準の導入について発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。この基準は、同国に輸入される新車や中古の軽量車両(light vehicles、重量3,500キロまでの車両、注)について、2025年までに段階的に全車両平均で走行距離1キロ当たり105グラムまで二酸化炭素(CO2)排出量を制限するというもの。ただし、同105グラムのCO2排出量は輸入する全車両の平均となるため、各輸入業者は、自身が取り扱う全車両の平均CO2排出量基準が105グラム以下であれば、CO2目標を超える車両も輸入できるとしている。この基準を実施する法律は2021年に導入され、2022年に発効する予定だ。

ニュージーランドは、OECD諸国の中で自動車輸入に関するCO2基準規制を設定していない数少ない国の1つだ。そのため、輸入している軽量車両は現時点でCO2排出量が平均で同171グラムと他国と比較しても多い。乗用車とスポーツ用多目的車(SUV)だけでも平均161グラムとなっており、2017年の欧州の同排出量105グラムを超えている状態にある。また、最も効率的な自動車モデルでさえ、英国の同等のモデルと比較し、排出量が英国車よりも平均21%高くなっているのが現状だ。

今回導入する輸入基準によって、軽量車両は2025年までに走行1キロ当たり105グラムの全車両平均CO2排出量目標を設定し、5年間でほぼ40%の排出量削減を目指す。種類ごとに乗用車とSUVは同102グラム、小型商用車は132グラムの排出量を目指すとしている。輸入供給業者が規程基準を満たさなかった場合は、罰金が科されるようになるが、業者の輸入要件への対応を考慮し、2022年までは適用しないとしている。

マイケル・ウッド運輸相は「この輸入基準により、2040年までに300万トンのCO2排出が削減される。国民は環境により優しい車を利用できるようになり、家族は1台当たり生涯で平均7,000ニュージーランド・ドル(約53万2,000円、NZD、1NZD=約76円)近くの燃料を節約できる」と述べており、政府の気候変動対策として期待を集めている。

ニュージーランドでは、気候変動対応修正法(ゼロカーボン法、関連ブラック ジャック記事参照)が2019年11月14日に発効しており、その中で2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を定めている。今回の低公害車輸入基準はその目標の達成実現に向けての対策の1つとなる。

(注)軽量車両(light vehicles)には、車、オートバイ、バン、トレーラー、小型バスなどが含まれる(NZ輸送庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ただし、農業用や軍事用の車両などは排出量基準から除外される。

(坂本未侑)

(ニュージーランド)

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