欧州自動車工業会、2021年の新車販売台数は前年比約10%増と予測
(EU)
ブリュッセル発
2021年02月05日
欧州自動車工業会(ACEA)は2月3日、2021年の新車販売台数が前年比約10%増となるとの見通しを示した。2020年の乗用車の新規登録台数は前年比23.7%減(EUの2020年の新車登録台数、前年比ギャンブル)となるなど、「新型コロナウイルス危機」は、自動車業界に大きな影響を与えた。しかし、2021年第1四半期まではその影響が続くものの、ワクチン接種が進むことで、自動車市場は2021年後半には持ち直すとした。
サプライチェーンの安定や規制のスマート化などが必要と主張
ACEAのオリバー・ツィプセ会長〔ドイツBMW・CEO(最高経営責任者)〕は、2020年は、特にアジアにおいて自動車市場の回復が早かったことに、欧州の自動車メーカーが支えられた点を指摘しつつ、新型コロナ危機以前の水準に回復するには、EUの持続可能な経済復興や欧州における需要回復が重要だと強調した。また、新型コロナ危機による自動車市場における変化として、電気自動車に対する業界の投資拡大や各国の購入支援策により、2020年の新車販売における電気自動車のシェアは2019年の3%から10.5%(暫定値)へと大きく伸びたとした。そして、自動車の脱炭素化およびデジタル化を推進するための課題として、サプライチェーンの安定について言及した。最近の半導体の供給停滞や、英国のEU離脱による移行期間終了の影響に憂慮し、自動車製造に欠かせない部品や原材料の安定した供給について、欧州は現実的な戦略を策定するべきだとした。
また、ACEAは2月1日、EU、ASEAN、国連欧州経済委員会(UNECE)など4つの地域連合や国際機関、また日本、中国やブラジルなど16カ国の自動車業界に対する規制をまとめたガイドブックを発表した。ACEAがこうしたガイドブックを発表するのは、今回が初めてだ。
同ガイドブックでACEAは、自動車業界は、欧州の産業部門の中でも特にEU規則や指令による規制が多い業界で、例えば、安全性についてだけでも50以上の規則があると指摘。業界の技術革新や投資の拡大のため、よりスマートな、統一された規制枠組みが必要だとあらためて強調した。また、「交通死傷者ゼロ」や環境問題といった世界共通の課題に、より早く、効率的に対処するためには、国際的にも手続きや基準のさらなる統一が必要だとした。
(滝澤祥子)
(EU)
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