米議会予算局、2021年度の財政赤字は2.3兆ドル、債務残高は22.5兆ドル見込みと試算
(米国)
ニューヨーク発
2021年02月15日
米国議会予算局(CBO)は2月11日、中長期の財政見通しに関する報告書を公表し、2021年度(2020年10月~2021年9月)の財政赤字は2兆3,000億ドル、債務残高は22兆5,000億ドルに達する見込みと試算した。財政赤字は前年度より9,000億ドル縮小するが、現在議会に提出されている1兆9,000億ドル規模の経済対策(関連ブラック ジャック コツ)については未成立なことから反映されていないため、今後、同対策が成立すれば、さらにこれらの数値は膨らむことが予想される。
報告書では、2021年度から2031年度までの予算収支、債務残高を試算。2021年度の財政赤字は2兆3,000億ドル、GDP比で10.3%に達すると試算(添付資料図1参照)。前年度(14.9%)よりも改善するものの、1945年以降で前年度に次ぐ2番目に大きな数値となる。2021年度の債務残高については22兆5,000億ドル、GDP比102%に達すると見込まれている(添付資料図2参照)。
また2022年度以降は、新型コロナウイルス関連の支出が減少し、低金利の状況が続くという想定から、数年間は支出が減少するものの、その後は高齢化などにより社会保障関連費用の増加や金利コストの上昇から、再び財政が悪化すると見込まれている。結果として、2022~2031年の年間の財政赤字は平均1兆2,000億ドル(過去50年間の平均を上回る)となり、2031年の財政赤字は1兆9,000億ドル、GDP比5.7%、債務残高は35兆3,000億ドル、GDP比107%と試算されている。
オバマ政権の経済顧問を務めたラリー・サマーズ氏は、メディアに寄稿したコラムの中で「第2次世界大戦の水準に近い規模の経済対策は、これまでにないインフレ圧力を引き起こす可能性があり、ドルの価値と金融の安定に影響を及ぼす可能性がある」と述べている。これに対して、ホワイトハウスのシニアエコノミスト、ジャレッド・バーンスタイン氏は、バイデン政権がインフレリスクを考慮していないことを否定した上で、「リスクのバランスをとることが重要。われわれの見解では(現在の状況に対して)過少の財政支出は過大の財政支出よりもはるかにリスクが大きい」と述べている(「ワシントン・ポスト」紙2月12日)。
なお、本報告書は、財政や経済に関して今後10年程度の見通しを示すもので、予算に関する議論の際の参考資料として、毎年、定期的に議会に提出されている(前回は2020年9月)。今回の報告書は、2021年1月12日時点のデータや成立している法律などを基に作成されており、経済前提に関しては、2021年2月1日にCBOが公表している経済見通し(関連ブラック ジャック アプリ)に基づく。
(宮野慶太)
(米国)
ビジネス短信 9b7f56ab2955eb18