市民からの政策提言を基にした環境法案を閣議決定
(フランス)
パリ発
2021年02月19日
フランス政府は2月10日、「気候変動対策・レジリエンス強化法案」を閣議決定した。抽選で選考された150人の市民から成る「気候変動市民評議会」がまとめた環境政策提言の一部を具現化した。同評議会は、炭素税の引き上げ計画が「黄色いベスト」運動による抗議活動につながった反省を踏まえ、エマニュエル・マクロン大統領が2019年10月に招集したもの(関連ブラック ジャック ディーラー)。同評議会は2020年6月、社会的公平性を維持しつつ、2030年までに温室効果ガス排出量の40%を削減するための149項目からなる政策提言を公表していた。今回の法案に含まれた主な政策措置は以下のとおり。
(消費・食品関連)
- 製品・サービス消費による二酸化炭素(CO2)排出量の表示制度「CO2スコア」を2024年までに導入する。
- 化石燃料の利用に関わる広告の掲載を禁止する。
- 2025年から社員食堂などの民間ケータリングサービスが使用する食材の50%を「持続可能または質の高い製品」とし、このうち20%を有機とするよう義務付ける。
- スーパーの量り売り販売の面積を2030年以降、全体の20%以上とする。
- 2025年からガラス容器のデポジット(預託金)制度を生産者は導入できる。
(交通関連)
- 列車でも2時間半以内で移動が可能な短距離区間での航空路線の運航を禁止する。
- 国内便全便に2024年から100%のカーボン・オフセット・プログラムの導入を義務付ける。
- 2024年末までに人口15万人を超える全ての都市に「低排出ゾーン(ZFE)」と呼ばれる交通制限区を導入する。
- CO2排出量が走行1キロ当たり95グラム以上の車両の販売を2030年に禁止する。
(住宅・建築物)
- 熱効率が悪い低断熱住宅(省エネラベルのFまたはG)について、今後1年の間に賃貸料の引き上げを禁止し、2028年から賃貸を禁止する。
- 地表面被覆の人工化を今後10年間でこれまでの10年間の半分に減らすことを目標に設定し、郊外の大型商業地区の新設に規制を設ける。
(罰則強化)
- 意図的で深刻かつ長期的な環境破壊行為を「エコサイド」という犯罪として規定し、最長10年の禁錮刑、最高450万ユーロの罰金を科す。
同法案は3月29日から国会で審議される。主要環境団体は法案の内容ではパリ協定やEUで採択された温暖化ガス削減目標を達成できないとして、政府や議会に政策措置の強化を求めている。
(山崎あき)
(フランス)
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