自動車メーカーがEV化目標を発表、国内初の超大型バッテリー工場も建設
(英国)
ロンドン発
2021年02月25日
英国やEUの厳格な炭素排出規制に対応するために、自動車メーカー各社は電動化にシフトする目標を相次いで発表している。英国政府は、2020年11月にガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止を2035年から2030年に前倒し、ハイブリッド車の販売も2035年に禁止する方針を発表しており()、英国内で電動化の動きが加速している。
インドのタタ・モータース傘下の英国自動車メーカー大手ジャガー・ランドローバー(JLR)は2月15日、「ジャガー」の全世界向け全ブランドを2025年から電気自動車(EV)とし、2030年までに「ジャガー」に加えて、「ランドローバー」の全ての車種でEVモデルを提供する計画を明らかにした。さらに、2039年までにサプライチェーンや生産も含めて温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロの企業となる目標も掲げている。
米国自動車メーカー大手フォードは2月17日、2026年半ばまでに欧州で生産する乗用車全車種をEVおよびプラグインハイブリッド車(PHEV)とし、2030年までに欧州における全車種の新規販売をEVにすると発表した。
また、EV向け超大型バッテリー工場「ギガファクトリー」を英国に設立する計画も出ている。英国バッテリーメーカーのブリティッシュボルトは2020年12月11日、英国で初のギガファクトリーを、イングランド北東部のノーサンバーランド州ブライスに建設することを発表。総額26億ポンド(約3,822億円、1ポンド=約147円)の投資で、日産が1984年にサンダーランド工場を設立して以来、イングランド北東部で最大の投資額となる。同工場は、2023年末までに生産開始を目指す。
日産は1月22日、英EU通商・協力協定の合意を踏まえ、サンダーランド工場でバッテリー生産を強化することを明らかにした。アシュワニ・グプタ最高執行責任者は「EUへの輸出において、英国で生産される全ての自動車の(EUでの輸入)関税を回避するために、サンダーランド工場で62キロワット時(kWh)のバッテリーを製造することを決定した」とBBCへの取材に答えている。
また、イングランドのウェスト・ミッドランズ州にある都市コベントリーの市議会は、コベントリー空港と合弁事業パートナーシップを締結し、同空港付近にギガファクトリーを建設する許可を2021年内に申請する、とBBCが報じている(「BBC」2月16日)。承認されれば、2025年までに稼働できる見込み。
(アダオラ・キング)
(英国)
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