ドラギ前ECB総裁に組閣要請、多数派工作へ各党と協議開始
(イタリア)
ミラノ発
2021年02月05日
イタリアの大統領府は2月3日、セルジオ・マッタレッラ大統領が同日、欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏を招き、組閣を依頼したと発表した。ドラギ氏は指示を受け、2月4日に各政党との協議を開始、協議は3日間にわたって行われる予定だ。
イタリアでは、連立政権内の不和により、与党が議会での安定多数を維持することが難しくなったことから、1月26日にジュゼッペ・コンテ首相が辞意を表明()。新型コロナウイルス対応をはじめ課題が山積している中、速やかな新政権樹立に向け、詰めの調整が行われていた。再度、コンテ氏を首相に擁立し、第3次コンテ内閣が立ち上がるとの見方もあったものの、多数派工作が立ち行かず頓挫。事態打開に向けてドラギ氏が抜てきされ、組閣作業のかじ取りを担うことになった。
しかし、過半数を確保できる連立政権樹立にこぎつけられるかは依然、不透明だ。ANSA通信は2月4日、第2次コンテ内閣で与党に入っていた民主党、「自由と平等」、および今回の混乱の引き金となったマッテオ・レンツィ氏率いるイタリア・ビバ、加えてシルビオ・ベルルスコーニ元首相率いる右派のフォルツァ・イタリアは、ドラギ氏を支持する公算が大きいと伝えている。一方、第1次および第2次コンテ内閣で与党入りをしていた五つ星運動は、党内で意見が割れており、出方が定まっていない。議会第1党である同党の動きは、多数派工作においても重要なポイントの1つで、今後数日間の動きに引き続き注目が集まっている。
産業界からは歓迎の声も
イタリア産業総連盟は2月4日、カルロ・ボノーミ会長が「ラ・スタンパ」紙の取材に答えた内容について、同連盟のプレスリリースとしても発表。ドラギ氏を「真面目で、有能で、権威があり、有力な人間」と高く評価しているほか、「われわれは、衛生・社会・経済における3つの危機が同時に発生している中で過ごしている。ドラギ氏の任命は賢明な判断と思われる」とし、ドラギ氏に歓迎の姿勢をみせた旨を伝えた。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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