バイデン米大統領、初の国際舞台演説で同盟国連携による中国との競争呼びかけ
(米国、中国、ロシア、欧州)
ニューヨーク発
2021年02月22日
ジョー・バイデン米国大統領は2月19日、G7首脳によるテレビ会議後に、ミュンヘン安全保障会議にオンラインで参加して演説を行った。その中で、米国が国際舞台に戻ってきたことを強調するとともに、米欧アジアの同盟国で中国との長期に及ぶ競争に立ち向かう必要性を説いた。ロシアについても、民主主義を攻撃する存在として警戒を促した。大統領就任後の初の国際舞台であらためて同盟連携と民主主義の重要性を強調した。
バイデン大統領は演説前半では、ミュンヘン安全保障会議の主要議題である欧米間の安全保障関係について「米国は戻ってきた。環大西洋の同盟関係が戻ってきた」と、トランプ前政権下で傷ついたといわれる欧米関係の修復を強調した。その上で「米国はNATOに完全にコミットする」と約束した。
演説の中盤以降はさまざまな国際問題に言及し、その筆頭に中国との競争を挙げた。バイデン大統領はまず、第4次産業革命や新型コロナウイルスの世界的なパンデミックに対処する上で、世界は専制主義か民主主義のいずれが最善なのかを決する「転換点にある」と問題提起を行った。それを踏まえて「民主主義が勝利する、しなければならない」とし、長期に及ぶ中国との競争の中で、米欧アジアの同盟国が協調して、平和と共有する価値観を守り、繁栄していくことが最重要の取り組みになると力説した。具体的な枠組みなどは提示しなかったものの、「国際経済システムの基盤を損なうような中国政府による経済的虐待や強制を押し返していかなければならない」として、新興技術も含めた国際ルール形成の必要性に言及した。個別の国では、ロシアについても、中国とは異なる挑戦をしかけてきていると述べて、警戒を促した。
コバックスに最大40億ドルの拠出を約束
バイデン大統領は国際的な喫緊の課題である新型コロナウイルス対策では、コバックス(COVAX、注)に最大で40億ドルの拠出を約束するとともに、世界保健機関(WHO)の強化と改革を呼びかけた。このほか、気候変動問題について、パリ協定復帰を強調するとともに、地球の日(4月22日)に気候変動首脳サミットを主催することについて言及した。
(注)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを複数国で共同購入し、公平に分配するための国際的な枠組み。詳しくは世界保健機関(WHO)のページを参照。バイデン政権の資金拠出計画については、ホワイトハウスのファクトシートを参照。
(磯部真一)
(米国、中国、ロシア、欧州)
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